西日本農業研究センター

所長室だより -所長就任にあたって-

水町所長の写真日頃より、西日本農業研究センターの研究業務に対するご理解やご協力をいただき厚く御礼申し上げます。

平成30年4月1日付けで農研機構西日本農業研究センター所長を拝命しました水町功子(みずまちこうこ)です。所長就任にあたりまして一言ご挨拶申し上げます。

農業を取り巻く状況は大変厳しく、とりわけ平地に比べて農業生産条件が不利にある中山間地、傾斜地が多い近畿中国四国地域においては、農業者の高齢化、担い手不足、過疎化の進行、それに伴う耕作放棄地の増大と地域経済の低迷が続き、極めて深刻な状況となっています。このような状況を打破するためには、農業に関する技術開発を通じて地域経済を活性化することが重要です。

西日本農業研究センターは、中山間地域の農業や食品産業の現場等が直面する課題を的確に把握し、これらの課題解決に向けた技術開発と着実な普及により、農業の生産性の向上と農業・農村の活性化に貢献したいと考えております。

具体的には、中山間地域における広域水田営農システム、省力・高収益果樹生産システム、高収益園芸システム、地域飼料資源を活用した黒毛和種牛生産システムの実現に向けた技術体系の確立のために現地実証研究を展開し、生産現場の強化、経営力の強化を目指します。また、管内の産地形成、6次産業化並びに実需への国産原材料を供給するための品種育成、地域特産農産物の栄養・健康機能性の利用技術の開発、農地の多面的機能の維持・発揮に留意した技術の開発を進めます。

平成28年度からは産学連携コーディネーターや農業技術コミュニケーターを配置した産学連携室を中心に、現場ニーズの把握から研究課題化、開発技術の情報発信・普及まで切れ目なく対応できるように地域ハブ機能を強化しています。また、「水田作」、「野菜」、「果樹」、「畜産」の4つの分野において、農業者、各県の普及担当者、JA、実需者、民間企業等からなるアドバイザリーボードを立ち上げ、現場ニーズの収集と課題解決のため、農研機構の専門研究部門等とも連携して取り組む体制です。

得られた成果を確実に社会実装するために、農業者、試験研究機関、大学、行政機関、民間企業等との連携を強化し、地域農業、特に中山間地域農業の課題解決と新たな産業創出に向けて取り組んで参りたいと思います。

西日本農業研究センターは、皆様とともに発展し、地域社会に貢献できる研究機関であり続けるよう努めて参りますので、一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

平成30年4月
国立開発研究法人農業・食品産業技術総合研究機構
西日本農業研究センター所長 水町 功子

プロフィール
昭和60年4月に農林水産省に採用され、畜産試験場、畜産草地研究所(現 畜産研究部門)において、牛乳や卵などの畜産物に含まれる成分の生体調節機能の解明とその機能を有効活用するための研究に従事。その後、平成23年4月からは農研機構本部にて、機構全体の試験研究の重点課題、研究員の資質向上、男女共同参画推進に取り組み、平成25年4月からは農研機構の研究成果の普及促進、広報等の産学官連携活動を実施。平成27年4月に西日本農業研究センター(赴任当時は近畿中国四国農業研究センター)の企画(管理)部長。
平成30年4月現職。