西日本農業研究センター

天神山のこむぎたち(2016年播種分)

播種作業/2016年11月8日撮影

今日は小麦の系統選抜を行う畑に、1条ごとに違う系統の種子を播く作業を行います。
乗用管理機に専用播種機を取り付けて作業を行います。違う系統の種子が混ざらない工夫がされています。

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あらかじめ系統ごとに分けられた種子を封筒に入れて準備しています。
播種機の種子ホッパーに封筒から種子を移します。1回の作業で4条同時に種まきを行います。

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種子がきちんと播かれているか、播種機の後ろから人の目で確認します。
種まきが終わった畑にはブームスプレーヤにより雑草の発芽を抑制する除草剤を土壌表面に散布します。
今日播いた小麦たちの中から次世代のエースが誕生する日が待たれます。

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追肥作業/2017年2月22日撮影

小麦の株元に土寄せしたところ。
こうしておかないと、麦が大きくなったとき倒れてしまいます。

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これから小麦を大きくするために追肥します。
肥料を散布する機械(ブロードキャスタ)に肥料を入れています。

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ブロードキャスタの中はこうなっています。
追肥の成分は窒素(ちっそ)とカリウムだけです。

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トラクタがムギを踏まないように注意しながら、肥料を散布しています。
左右に肥料が飛ばされていきます。

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広いムギ畑もトラクタとブロードキャスタを使えばすぐに追肥完了です。

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小麦の様子/2017年4月14日撮影

福山市ではこの品種は例年4月21日頃に出穂するので、撮影時点では穂の出始めです。

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これが出穂中の穂です。細長い緑色の芒('のぎ'と読みます)が付いています。

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これはパン用小麦「せときらら」の畑です。
この品種は4月初めに出穂するので撮影時には既に全部穂が出ています。

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これが「せときらら」の穂です。この品種も長い芒('のぎ')が付いています。

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これは西日本農研で育成中のうどん用の小麦「中国165号」の畑です。
天神山を背景にすくすく育っています。
まだ品種名が付いていません。

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この「中国165号」ではとても短い芒('のぎ')が穂先に付いているだけです。
この特徴は交配親の片方の品種「きたほなみ」から遺伝したためです。

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穂摘み/2017年5月26日~30日撮影

「天神山のこむぎたち」の「穂摘み」作業を紹介します。前回紹介したコムギ畑と異なりここは品種改良途上のコムギ畑なので、コンバインで一斉収穫するのではなく、各畝のコムギの穂から、草丈などが望ましいもの、穂の実りが良いもの等の基準を設けて1穂ずつ厳選して収穫します。2日間ほどで完了しなければならないので、人海戦術で行います。

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品種改良の途上なので、外見が茶色の穂と白い穂が混在していますが、この「穂摘み」の選抜作業では草丈や実りを重視するので穂の色は関係ありません。

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選抜した穂は畝ごとに束にして畝番号などの各種情報を書いたラベルをつけます。

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収穫した穂は、乾燥舎内につるして、扇風機で風を当てながら乾燥させます。乾燥後、 穂から種子を外し(脱穀)、更に種子の外皮を取り除く(脱稃:だっぷ)作業を行います。このようにして得られたコムギ種子を今年の秋に再び圃場に播いて栽培し更に選抜作業を繰り返します。

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収穫作業/2017年5月31日撮影

天神山の「せときらら」の収穫作業を紹介します。黄金色に熟した「せときらら」です。 農研機構と利用許諾契約を結んだ生産者向けに種子を増殖しています。

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収穫に先立って、コムギ種子の水分量を測定します。コムギの穂から少量の種子を採種して専用の測定器にかけます。 一般に水分量が25%以下になったとき収穫しますが、晴天が続いたので、14.2%と水分量が少なく良好な状態であることが確認されました。

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コンバインで収穫します。水稲で使用するものと同じです。収穫と同時に脱穀します。

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収穫した「せときらら」種子はコンバインのタンクから軽トラックに積んだコンテナに移します。

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コンバインから勢いよく種子が排出されています。

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収穫した種子を乾燥機に移して乾燥させます。この乾燥機は種子を静置状態で乾燥させます。一般に使われている循環型穀物乾燥機と異なり種子が傷つきにくく、栽培目的の種子の乾燥に適しているといわれています。

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