受賞年月日
2025年5月17日
業績
茶園・野菜畑における環境保全型土壌管理技術の開発
受賞者
徳田 進一(中日本農業研究センター 温暖地野菜研究領域 有機・環境保全型栽培グループ)
概要
茶園や野菜畑には多量の窒素肥料が施用されており、施肥窒素に起因する土壌環境の悪化や溶脱による周辺水系の硝酸汚染、地球温暖化の原因となる一酸化二窒素の放出などが大きな問題となっています。そのため、生産や品質を維持しながら窒素肥料の削減と環境負荷の低減を図るため、適正な施肥法や有機物を活用した土壌管理技術の開発が強く求められています。
こうした中で受賞対象となった研究では、茶園における一酸化二窒素放出の実態と特性を評価して、これまで報告がない新規な生成メカニズムの一端を明らかにするとともに、収量や品質を維持しながら窒素施肥量を減らすことにより一酸化二窒素の発生や地下水の硝酸態窒素濃度を低減させる省力的な茶園施肥法を開発しました。この茶園の窒素施肥量削減技術は、カーボンニュートラルの達成に向けたJクレジット制度において、茶園土壌からの一酸化二窒素の排出削減活動を対象とする方法論の1つとして採用され社会実装が進んでいます。また、露地野菜畑においては、化学肥料削減のための家畜ふん堆肥の効果的な施用方法や連用効果、利用効率を向上させる栽培法、および土壌理化学性へ一酸化二窒素発生への影響を明らかにし、土壌生産力の維持と環境負荷の低減に資する適正な堆肥の利用方法を提案しました。
得られた知見は行政においても広く活用され、みどりの食料システム戦略等の施策への貢献も期待されるとして、日本土壌肥料学会技術賞の受賞にいたりました。

