研究活動報告

第15回日本作物学会技術賞を受賞しました

情報公開日:2025年10月20日 (月曜日)

受賞年月日

2025年3月28日

業績

データ駆動型スマート農業技術を活用した営農管理と収量の「見える化」による大規模経営体における水稲栽培・作付体系の改善

受賞者

石川哲也1)・淸水ゆかり2)・吉永悟志1)
( 1)元中日本農業研究センター転換畑研究領域、2)中日本農業研究センター転換畑研究領域 )

概要

生産者の高齢化や農村部の人口減少に伴い、大規模生産者への農地集積とさらなる大規模化が急速に進んでいます。水稲経営の大規模化は国際競争力の強化や新規就農の促進等の面で重要な方向性である一方で、品種・作型が多様化し、作付時期の遅れや適期の追肥・防除が困難になるなど、単収低下のリスクが高まります。こうしたリスクに対応する技術として、営農管理システムや収量コンバイン等のスマート農業技術が開発され、多数のデータを容易に収集・蓄積することが可能となってきましたが、そうした膨大なデータが営農改善に十分活用されているとは言えませんでした。
本研究は、収量コンバインによる圃場別収量や乾燥ロット別収量データを品種ごとに正規化した「収量スコア」を考案し、品種ごとの収量レベルの違いを取り除いた圃場の生産力の比較や、作付時期や栽培法と収量性の関係解析を可能としました。さらに、収量または収量スコアを営農管理システムから得られる栽培管理データと結び付けてグラフ化する「見える化」を行うことにより、次年度の作付けや栽培法の改善を行い、100ha規模の複数の大規模経営体の経営全体の増収と生産費削減を実現しました。このような大規模な実証経営はこれまでにないもので、今後のスマート農業技術の方向性を示した画期的な研究であると評価され、今回の受賞につながりました。

日本作物学会第260回講演会にて、石川哲也氏が受賞記念講演を行いました。