研究活動報告

令和5年北農賞を受賞

情報公開日:2023年12月20日 (水曜日)

公益財団法人北農会主催の北農賞贈呈式が、2023年12月15日(金曜日)に札幌市内のホテルで開催され、農研機構は報文部門および技能部門で栄えある北農賞を受賞しました。

報文部門

受賞業績名

北海道空知型4年4作の省力的水田輪作栽培技術

受賞者名

農研機構北海道農業研究センター 中村 卓司、林 怜史、鮫島 啓彰、長南 友也、房安 功太郎、吉田 晋一、濵嵜 孝弘、根本 学

業績の概要

空知地域をはじめとする水田作地帯では、水稲、麦、大豆やそれ以外の作物を加えた水田輪作が行われていますが、今後、担い手の減少に伴って1経営体当たりの経営規模の拡大が予想され、輪作体系におけるさらなる省力化と収益向上が求められていました。
このため、北海道農業研究センターでは、移植水稲、大豆、秋まき小麦、乾田直播水稲の水田輪作を基本体系とし、各作物の要素技術を開発し、経営評価を行った上で「北海道空知型4年4作水田輪作体系」として確立しました。
要素技術は、(1)疎植・無代かき移植水稲栽培、(2)無代かき水稲栽培後の大豆の作付け、(3)大豆間作小麦栽培、(4)前年整地による乾田直播栽培、(5)水稲出芽始予測の5つで、これらの技術を導入することにより、実施可能面積は慣行体系と比較して10%増加し、実施可能面積の増加と無代かき水稲栽培後の大豆収量の増加により所得が19%増加することを明らかにしました。
大規模化する水田作経営の収益向上をもたらし経営基盤の安定化に貢献する技術として、導入・普及が期待されます。

受賞者写真
報文部門受賞者 : 左から鮫島 啓彰、中村 卓司、長南 友也

技能部門

受賞業績名

薬剤の安定散布を実現したソリ型散布器の考案

受賞者名

農研機構北海道技術支援センター 前田 知己、鈴木 悟、笠井 健二

業績の概要

除草剤散布器は、車体が揺れると散布ノズルが揺れ、また、風が吹くと作物へのドリフト(薬剤飛散)が発生するなどの課題がありました。
このため、北海道技術支援センターでは、これらの課題に対応したソリ型散布機を開発しました。
この散布機は、ステンレス製の支持フレームに散布ノズルをワイヤーで吊り下げ、前後左右をビニールで覆うことにより、作物に障害を与えず、農薬の作物へのドリフトを防止することが可能です。
既に北海道農業研究センターでの多くの試験研究に活用されており、条間とユニットの散布幅の調整で60~75cmまで対応できるため、畝状に栽培されている作物に幅広く利用できます。

受賞者写真
技能部門受賞者 : 左から鈴木 悟、笠井 健二