北海道農業研究センター寒地畑作研究領域気候変動対応グループの伊川浩樹上級研究員が、日本農業気象学会2026年全国大会において学術賞を受賞しました。
受賞年月日
令和8年3月18日 (水曜日)
場所
筑波大学春日キャンパス(日本農業気象学会2026年全国大会)
概要
受賞業績名
「微気象環境計測とモデリングに基づく大気―生態系相互作用に関する研究」
受賞者名
伊川浩樹 (農研機構北海道農業研究センター)
概要
水田、海洋沿岸域、亜寒帯林など多様な生態系を対象に、微気象観測と熱収支・光合成モデルを融合した研究を展開し、大気-生態系相互作用の解明を進めてきました。これまでに、融雪過程のメカニズムや、水田におけるCO2濃度上昇が光合成および蒸発散に及ぼす影響などについて新たな知見を示しました。特に、高CO2環境下の水田に関する研究では、個葉レベルの観測データを群落スケールのモデルに統合し、光合成能力の高い品種では光合成が増大する一方で、蒸発散は大きく変化しないことを明らかにしました。また、高温に伴う大気飽差の増大が蒸発散抑制効果を増幅することや、水田の気象緩和機能が低下する可能性を示しました。
さらに、渦相関法による観測により、農地・森林・海洋における炭素・エネルギー収支の定量化を進め、沿岸海におけるCO2吸収・放出過程や森林の寄与、融雪に伴うフラックス変動の実態を明らかにするとともに、寒冷域海洋における観測手法の高度化にも貢献しました。これらの成果は、大気-生態系相互作用の理解に重要な知見を提供するものであり、本学会学術賞に相応しい業績であると認められました。
