研究活動報告

日本応用動物昆虫学会 学会賞を受賞

情報公開日:2023年5月 2日 (火曜日)

賞の名称

日本応用動物昆虫学会 学会賞

受賞年月日

2023年(令和5年)3月13日

業績

バンカー法を中心とした天敵利用技術の確立と普及に関する一連の研究

受賞者

農業・食品産業技術総合研究機構 植物防疫研究部門 作物病害虫防除研究領域長
長坂幸吉

概要

バンカー法は、バンカー植物上の代替餌(代替寄主)で天敵個体群を維持することにより、圃場内で十分量の天敵を長期継続的に維持するシステムである。発生状況のモニタリングが難しい微小害虫に対して、このシステムを用いて害虫を天敵で待ち伏せる体制を作ることにより、安定的な防除が可能となる。施設野菜類の重要害虫アブラムシ類防除のため、天敵寄生蜂を用いたバンカー法を検討し、高知県のナス、ピーマン等の促成栽培産地での実証試験を通じて実用化した。この過程で、天敵寄生蜂にさらに寄生する二次寄生蜂が、防除成否に及ぼす影響を明らかにした。これらの知見によりイチゴの促成栽培でもバンカー法が普及した。また、施設有機栽培ミニトマトにおいて、このバンカー法と他の天敵類や防除資材を有効に組み合わせたIPMプログラムにより、慣行並みの収量を実現できることも示した。バンカー法をより簡便に実施できるよう、次世代型バンカー資材キットの開発に取り組んだことも、評価された。

受賞