研究活動報告

2022年度農業情報学会賞(学術賞)を受賞

情報公開日:2022年9月 2日 (金曜日)

農業情報研究センターWAGRI推進室の田中慶上級研究員が、農業情報学会2022年度年次大会において学術賞を受賞しました。

賞の名称

2022年度農業情報学会賞(学術賞)

受賞業績名

WebAPIを用いた農業用Webアプリケーションの開発

受賞者名

田中 慶 (農研機構農業情報研究センター)

受賞年月日

令和4年5月21日 (土曜日)

内容

概要

農業モデルをWebアプリケーションとして実装するための研究を、25年前の農林水産省によるプロジェクトにおいて始め、その成果を農業モデル開発用フレームワーク(Java Agricultural Model Framework: JAMF)としてまとめました。今回の受賞は、このJAMFを利用して行った一連の成果に対するものです。 JAMFは気象データ等の時系列データを利用するモデルの計算、データ、I/Oに関する共通機能を提供しており、様々な気象データベースから気象データを取得できる気象データ仲介ソフトMetBroker(現在は、メッシュ農業気象データに置き換え)にも対応しました。農業モデルをWebアプリケーションとして実装することを容易にし、水稲、小麦、果実等の生育予測や、病害虫発生予察等のWebアプリケーションを開発したことが、新しいモデルの利用法の開拓につながりました。
Ajaxが注目を集めた2005年以降には、JAMFをサーバサイドアプリケーション開発に対応させるとともに、機械可読なXML、JSON等の形式や、Google Earth上で時系列データをアニメーション表示できるKML等、多くの形式での出力に対応させ、結果データの再利用を容易にしました。特に、プログラムの記述が必要であった気象データの取得を、Web APIで行えるようにしたMetXMLは、気象データを容易に取得できるようにしたことで、農業情報学の生産現場への活用、普及を推進した点で評価されました。
その後、NOAA/WMOの気象データを利用して、全球で水稲生育予測モデルを実行する水稲栽培可能性予測ツールの開発では、研究者向けのモデルであった生育モデルを政策決定者や農家向けの意思決定支援ツールとして利用できるようにした点で評価されました。また、害虫の防除適期を判断するための昆虫世代予測システムは、社会実装のためにWAGRI APIとして公開され、最新農業技術・品種2021にも選定されました。近年では、JAMFをAndroid版スマホアプリ開発に対応させるなど、新技術への対応を継続しています。

受賞者写真
田中 慶 上級研究員
賞状写真
賞状写真