研究活動報告

2022年度日本農作業学会春季大会において、学術奨励賞を受賞しました。

情報公開日:2022年4月15日 (金曜日)

受賞年月日

  • 2022(令和4年)年3月22日
  • 長野市生涯学習センター(長野県長野市)

業績

  • 中山間水田作の管理作業の改善に関する研究

受賞者

  • 農業・食品産業技術総合研究機構西日本農業研究センター中山間営農研究領域
  • 生産環境・育種グループ 菊地 麗
  • 地域営農グループ 孫 雯莉

研究の概要

中山間地域においては、生産者の高齢化や減少に伴い、圃場は担い手に集約されるものの、分散した小区画の圃場が集約されることとなり、管理が必要な畦畔面積が増加して水田作の管理作業の改善が喫緊の課題となっています。そこで、中山間地域によく見られる小区画圃場で急傾斜法面に対応した小型草刈機の開発と、普及が進むマルチコプタを使った防除作業の省力化に関する実証研究を行いました。

その結果、現場ニーズに答える形で最大傾斜角度45度を超えるような急傾斜法面に対応した草刈機を開発しました。開発機は最大傾斜50度程度の急傾斜法面に対応する電動の小型草刈機で、簡単に持ち運びができ、遠隔操作で安全な草刈り作業が可能です。現在、実用化に向けて、民間企業(I-OTA合同会社)と連携して、R4年春以降の市販化に向けて開発に取り組んでいます。

また、中山間地域の集落営農法人の圃場群を対象に、マルチコプタと従来のオペレータが乗車して作業を行うブームスプレーヤによる防除作業を比較して、中山間地域におけるマルチコプタ導入の省力効果を明らかにしました。マルチコプタの1haあたり圃場作業時間は、ブームスプレーヤと比べ約1/3と短く、マルチコプタの1日の最大作業可能面積はブームスプレーヤの2.7倍でした。これらのことから、中山間地域において、マルチコプタを用いた多筆分散圃場の省力適期防除の実現が期待できます。

日本農作業学会春季大会学術奨励賞
記念の盾(菊地 麗研究員) 記念の盾(孫 雯莉研究員)