寒冷地向けもち性六条皮麦新品種「はねうまもち」
要約
「はねうまもち」は寒冷地優良品種「ファイバースノウ」の「もち性」突然変異品種であり、麦飯の食感が優れるほか、健康機能性成分β-グルカン含量が原品種の1.4倍多い。栽培特性は「ファイバースノウ」に類似して優れる。
- キーワード:大麦、もち性、β-グルカン、機能性
- 担当:中央農業研究センター・作物開発研究領域・畑作物育種グループ
- 代表連絡先:電話025-526-4131
- 分類:普及成果情報
背景・ねらい
もち性大麦は高いβ-グルカン含量やもちもちした麦飯の食感などから需要が急増している。しかし、もち性大麦の国内生産量は少なく、多くを北米からの輸入に依存している。実需者はもち性大麦の消費の定着、拡大を図るうえで、食味と麦飯のにおいが優れる国産もち性品種の早期普及・実用化を求めており、生産者からも安定的な需要や高収益化が見込めるもち性品種への期待が寄せられている。また、既存のもち性品種の多くは温暖地向けであり、寒冷地での栽培適性に適した秋播性もち性品種が求められている。このような社会ニーズに応えうるもち性大麦「はねうまもち」を開発したので、その早期普及、実用化を図る。
成果の内容・特徴
- 「はねうまもち」は「ファイバースノウ」催芽種子をアジ化ナトリウム処理して得られたアミロースフリー型のもち性突然変異品種である(表1)。
- 「はねうまもち」の麦飯は"もちもち感"があり、食味が優れ、機能性成分β-グルカン含量が原品種「ファイバースノウ」の1.4倍多い(表1)。
- 「はねうまもち」はもち性大麦であるため、硝子率が低く、精麦時の砕粒が少ないが、55%精麦時間は長い(表1)。
- 「はねうまもち」は原品種「ファイバースノウ」に比べて、千粒重がやや小さいほかは、草姿、出穂・成熟期、収量性などの栽培特性は類似しており、原品種とほぼ同様の優れた栽培性をもつ(表2)。
- 「はねうまもち」を利用した6次産業化・農福連携などの取り組みに利用できる(図1)。
普及のための参考情報
具体的データ

その他
- 予算区分:交付金、競争的資金(イノベ創出強化)
- 研究期間:2007~2018年度
- 研究担当者:長嶺敬、関昌子、青木秀之、伊藤誠治、山口修、中田克
- 発表論文等:
- 長嶺ら「はねうまもち」品種登録出願公表第31554号(2016年2月23日)
- 関ら(2018)育種学研究、20:133-137