多収でそばかす病に強く、耐倒伏性に優れるアルファルファ品種「ウシモスキー」

要約

アルファルファ「ウシモスキー」は北海道および北東北において多収で、2、3番草にその傾向が強い。「ハルワカバ」よりそばかす病罹病程度および倒伏程度は小さい。寒地・寒冷地のアルファルフの安定栽培に利用できる。

  • キーワード:アルファルファ、多収、そばかす病、倒伏
  • 担当:北海道農業研究センター・作物開発研究領域・飼料作物育種グループ
  • 代表連絡先:電話 0287-37-7555
  • 分類:普及成果情報

背景・ねらい

アルファルファはマメ科牧草で粗タンパク含量が高く、泌乳牛の採食性が高いことから、高栄養飼料として世界的に利用されている。牧草地の強害雑草であるギシギシに使用する除草剤に対する薬害が他のマメ科牧草に比べて軽微であることなどから、北海道におけるアルファルファ栽培面積は2000年に約8千haであったものが、現在は約5万haへと急増しており、今後さらに普及面積の拡大が予想される。2003年に育成された「ハルワカバ」は、草型が開張型のため倒伏程度が大きく、そばかす病の罹病程度もやや高い傾向があった。アルファルファの安定栽培のため、耐倒伏性を改善し、「ハルワカバ」より多収で、そばかす病に強く、十分な耐寒性をもつ品種を育成する。

成果の内容・特徴

  • 総乾物収量は試験期間での北海道7場所平均で主要流通品種の「ハルワカバ」「ケレス」の双方より108%の多収である(図1)。
  • 秋季休眠程度が4.9と中程度で、北海道向きに育成された品種のなかでは最も秋季休眠程度が小さく(表1)、北東北においても標準品種に比べて多収を示す(図1)。
  • 草丈は「ハルワカバ」よりやや高く、番草ごとに比べると、2、3番草で差が大きくなり、乾物収量も2、3番草で高くなる(表1)。
  • そばかす病罹病程度は明らかに小さい(図1)。越冬性に関連する耐寒性および菌核病の耐病性とも「ハルワカバ」と同じ"中~やや強"である。
  • 倒伏程度は「ハルワカバ」より小さく、「ケレス」と同程度である(図3)。

普及のための参考情報

  • 普及対象:酪農家、飼料作物委託生産支援組織
  • 普及予定地域・普及予定面積:北海道・北東北、6,500ha
  • その他
    1)2017年度よりホクレンが種子を市販開始。
    2)チモシーとの混播の場合は競合力が強くチモシーを抑圧する傾向があるので、造成時の播種量を標準播種量から4割程度削減した0.3kg/10aとする。

具体的データ

図1総乾物収量(4ケ年合計、青森、岩手、新冠は3年)の標準品種比(%);図2そばかす病罹病程度(1:無微~9:甚);図3倒伏程度(1:無微~9:甚)

その他

  • 予算区分:交付金、競争的資金(農食事業)
  • 研究期間:1994~2016年度
  • 研究担当者:廣井清貞、内山和宏、我有満、奥村健治、磯部祥子、山口秀和、高田寛之、松村哲夫、牧野司(根釧農試)、佐藤尚親(雪印種苗)、林拓(上川農試)、酒井治(根釧農試)、出口健三郞(畜試)、安達美江子(ホクレン)、道場和也(ホクレン)、岩渕慶(ホクレン)、大塚博志(ホクレン)
  • 発表論文等:廣井ら「ウシモスキー」品種登録第26124号(2017年8月7日)