貯蔵性、収量性に優れる加工用短節間性新品種候補「カボチャ北渡交4号」

要約

カボチャ北渡交4号は、果実の肥大性、収量性に優れ、貯蔵後の糖度・粉質性が高く、ペースト加工に適する短節間性F1系統である。

  • キーワード:カボチャ、加工用、高貯蔵性、多収、短節間
  • 担当:北海道農業研究センター・作物開発研究領域・園芸作物育種グループ
  • 代表連絡先:電話050-3533-1833
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

カボチャの加工業者からは、12月~5月の端境期においても利用可能な高糖度で高粉質な果実品質を有する加工適性の高いカボチャが求められており、また、生産者からは栽培の省力的な形質と高い収量性をもつ品種が望まれている。そこで、端境期の出荷に向けて貯蔵後の果実品質が良好で加工適性に優れ、大果で収量性が高く、省力栽培に適する短節間性のカボチャ品種育成を行う。

成果の内容・特徴

  • カボチャ北渡交4号は、株式会社渡辺採種場が開発したつる性で高貯蔵性のNHを種子親とし、北海道農業研究センターが開発した短節間性の「北海6号」を花粉親とするF1系統である(図1)。
  • カボチャ北渡交4号は、生育初期において主枝(つる)は節間が詰まり、短節間性を示す。短節間性で側枝が少なく株元に着果しやすいことから、整枝・誘引、収穫作業の省力化が図られ、また、単位面積当たりの収量を向上させるための密植栽培が可能である。雄花の開花日は「えびす」、「雪化粧」とほぼ同じであるが、雌花の開花日は「えびす」よりも遅く、「雪化粧」より早い傾向がある(表1)。
  • 果実は扁円形で、果皮は灰緑で灰色のすじと斑点模様がある(図2)。1果重は約2kgで「えびす」より大きい傾向があり、「雪化粧」と同程度である。総収量、規格内収量ともに密植栽培により、「えびす」、「雪化粧」より多収である(表1)。
  • 貯蔵3か月後の果肉色は橙黄~橙で明るい。Brixは「えびす」より高い傾向があり、乾物率は「えびす」より高く、「雪化粧」と同等で粉質性は強く、貯蔵後の品質は優れる(表2)。
  • 一次加工歩留まりは「えびす」、「雪化粧」と同程度であるが、ペースト加工の歩留まりは「えびす」、「雪化粧」および他の短節間性品種より高く、加熱後糖度は「えびす」、「雪化粧」より高い傾向にある。ペーストの状態は他の品種より良好で、色調は黄色で見栄えが良く、甘味も強く、ペースト加工適性は高い(表2、図2)。

成果の活用面・留意点

  • 北海道などの春播き露地栽培、本州、九州地域等の端境期出荷に向けた抑制栽培に適する。高温時期の栽培では、雌花の着生不良が生じる場合がある。
  • 密植栽培(畝幅150~200cm、株間50~60cm。または、畝幅300cm、株間50cm、2条植え)に適する。密植栽培による種子および資材等の追加経費に留意する。
  • 種子は株式会社渡辺採種場から販売予定である。

具体的データ

図1 カボチャ北渡交4号の育成図;図2 北渡交4号の果実(左)とペースト加工品(右)

その他

  • 予算区分:交付金、競争的資金(農食事業)
  • 研究期間:2010~2016年度
  • 研究担当者:杉山慶太、嘉見大助、室崇人、渡邉春彦((株)渡辺採種場)、勝又雅彦((株)渡辺採種場)
  • 発表論文等:杉山ら「カボチャ北渡交4号」品種登録出願第32781号(2018年1月17日)