北海道の乾田直播水稲の出芽始を、播種日と日平均気温から推定した日平均地温を用いて予測する手法である。予測した出芽始が実際の出芽始より遅くならないよう予測モデルのパラメータが調整されており、雑草の初期防除としての非選択性除草剤散布日程の検討に有効活用できる。
経営規模の拡大に伴い北海道で導入が進む乾田直播では、雑草の初期防除としてイネの出芽前に非選択性除草剤を散布するが、イネの出芽後は散布が不可能となることから、除草剤散布日程の検討に必要な出芽始日の予測に対し、実際の出芽始から遅れることなく、かつ、正確に出芽始を予測する方法の開発が求められている。そこで、本研究では乾田直播水稲の出芽始を、農研機構メッシュ農業気象データ等により入手した気温データから、実際の出芽始めからの遅れを抑制しつつ予測する方法を開発する。
Tsn = α・Tsn-1 + (1-α)・Tan + β
ここで、TsnとTanはそれぞれn日(nは通日)の日平均地温(°C)と日平均気温(°C)、αとβはパラメータである。北海道石狩地域から南空知地域の乾田直播圃場の日平均地温は、α=0.27、β=1.10にて推定できる(データ略)。なお、地温の初期値には気温を代用するが、気温と地温の違いの影響は10日ほどで解消するので、計算開始日は播種日の10日以上前とする。