大容量のドローン空撮画像を効率的に配信、閲覧できるウェブシステム
要約
ドローン空撮画像をウェブ上で円滑に配信、閲覧するためのウェブシステムである。大容量のGeoTIFF画像をウェブ経由での配信に適したファイル群に自動的に変換する機能を有する。本システムにより、画像のファイルサイズに関わらずウェブブラウザ上での円滑な閲覧が可能となる。
- キーワード:ドローン空撮、画像配信、画像ビューワ、IIIF、ウェブシステム
- 担当:北海道農業研究センター・大規模畑作研究領域・ICT農業グループ
- 代表連絡先:電話 011-857-9212
- 分類:研究成果情報
背景・ねらい
ドローンの空撮および画像処理によって得られる位置情報が付加されたGeoTIFF形式の画像ファイルは、そのファイルサイズが大容量になる傾向にある。そのため、画像を配信したり閲覧したりすることが一般的な方法では困難である。そこで、ウェブ経由で大容量ファイルを円滑に配信し、ウェブブラウザ上で閲覧することができるウェブシステムを開発する。
成果の内容・特徴
- 本システムは、ドローン空撮画像を円滑に配信するウェブサーバ上のシステムと配信された画像データをウェブブラウザ上で閲覧するためのビューワから構成される。
- ユーザが専用のフォームからGeoTIFF画像をアップロードすると画像がサーバサイドで処理され、ウェブ経由での画像情報の配信サービスが自動的に生成される。サーバ上には、アップロードされたGeoTIFF画像とは別に配信サービスに用いるためのファイル群が生成される。そのファイル群のファイルサイズの合計は、元のGeoTIFF画像の約4倍のサイズとなる。なお、配信サービスのパフォーマンスは画像ファイルのサイズに関わらず一定である。
- 画像の配信は、高精細画像配信のための代表的なフレームワークの一つであるInternational Image Interoperability Framework (IIIF)を位置情報が付加されたGeoTFF画像ファイル用に仕様拡張することで実現している。
- ユーザは、ウェブブラウザ上で動作するシステムで自身がアップロードした画像の管理を行うことができる(図1)。ウェブブラウザには、JavaScript ES2015(ES6)に対応したものを用いる。
- 配信される画像は、IIIF対応のビューワを用いることで閲覧することができる。また、独自に開発した複数画像を閲覧するためのビューワを用いることで、異なる時期に撮影された複数の画像の表示位置、ズームレベルを同期させて閲覧することができる(図2)。
成果の活用面・留意点
- ドローン空撮画像をウェブ経由で配信する際に活用できる。
- サーバへの画像アップロードはユーザアカウントで制御する機構を有しているが、配信はアカウントによる制御がなされていないため、必要であれば別途実装する必要がある。
- GeoTIFFファイルおよびそれを処理した後に得られるファイル群は、ファイルサイズの合計が膨大になる。また、GeoTIFFファイルのサイズによっては処理時間が非常に長くなる。多くのストレージとCPUパワーが必要であるため、運用に当たってはユーザ数、使用頻度などを考慮し、システムリソースの規模等を適切に決定する必要がある。
- システム導入に当たっては、「インストール手順書」に従い必要なプログラム言語やライブラリ等のインストールし、本システムに含まれるプログラムファイル群を設置する。
具体的データ

その他
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2017~2019年度
- 研究担当者:伊藤淳士
- 発表論文等: