メッシュ農業気象データとアメダスに対応した農業モデル開発フレームワークJAMF
要約
農業用モデルのWebアプリケーションを開発するためのJavaフレームワークJAMF(2016年度研究成果情報)に、メッシュ農業気象データやアメダスから気象データを取得する機能を実装し、その機能はJavaプログラムだけでなく、Web API経由で利用できる。
- キーワード:メッシュ農業気象データ、アメダス、農業モデル開発フレームワーク、JAMF、Web API
- 担当:農業技術革新工学研究センター・高度作業支援システム研究領域・高度情報化システムユニット
- 代表連絡先:電話 048-654-7000
- 分類:研究成果情報
背景・ねらい
Society5.0時代に農作業の効率化を進めるために、作物生育予測モデルや病害虫発生予察モデル等の農業モデルの活用が求められている。SIMRIW等の水稲生育予測モデルや、BLASTAM等の病害虫発生予察モデルを含む20程度の農業用モデルが、Java農業モデル開発用フレームワークJAMF(2016年度研究成果情報)を利用してWebアプリケーションとして開発されている。これらのモデルで利用される気象データは気象データベース仲介ソフトウェアMetBroker(2000年度研究成果情報)経由で取得されていたが、2018年3月にサービスが終了した。既存のモデルを継続して利用可能とするためには、新たな気象データ取得機能が必要である。そこで、様々な場面で利用されているメッシュ農業気象データとアメダスから気象データを取得する機能をJAMFに実装する。
成果の内容・特徴
- JAMF(2016年度研究成果情報)との違いは、気象データ取得機能をJAMF自身に実装したことである(図1)。気象データを取得するためには、リクエストされた期間、気象要素、地点等から、複数のURL(図4)を生成して気象データベースにアクセスする。メッシュ農業気象データの場合は、地点の緯度経度を3次メッシュコードへ変換する必要がある。また、取得した気象データを利用するためには、ASCII形式で取得した場合は文字列処理、netCDF形式の場合はプログラムによる処理が必要である。アメダスの場合は、近くにある気象観測地点IDへの変換が必要である。また、取得した気象データはHTMLの表であるため、Webスクレイピングと呼ばれる手法でHTMLタグを解析し、データを抜き出す必要がある。未来の期間を含めて取得する場合は、さらに平年値を取得してマージする処理も必要になる。
- 出力形式、気象データベース、地点または領域、期間、データ間隔、気象要素を指定して、気象データを取得できるWeb API(図2)を提供している。
- JAMFのJava APIでは、メッシュコード変換やデータ取得するためのURL生成、取得した気象データの形式変換処理を1つのメソッドMetDataAcquire.acquire(request,metDB)(図3上8行目)で行える。
- JAMFで取得した気象データは時系列データクラスTimeSeriesに保持され、そのまま農業用モデルのデータとして利用可能である(図3下1行目)。
- 取得した気象データやモデルの実行結果を、グラフ画像、HTMLの表、CSV、XML、JSON、Excelブック、KML等の様々な形式で出力できる。
- AndroidアプリはJavaで開発するため、JAMFの気象データ取得機能をAndroidアプリ開発においても利用できる。
成果の活用面・留意点
具体的データ

その他
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2017~2018年度
- 研究担当者:田中慶
- 発表論文等:
- 田中(2019)農研機構研究報告、1:67-75
- 田中(2018)職務作成プログラム「農業モデルWebアプリケーション開発用フレームワークJAMF」