ISOBUS認証を取得した作業機用電子制御ユニット及び制御ソフトウェア

要約

国産技術としては初めてのISOBUS認証を取得した作業機用電子制御技術である。ISOBUSのユーザーインタフェース利用機能、マップ連動機能、作業幅自動変更機能を実装している。本開発技術の導入で、低コストかつ容易に作業機械をISOBUSに対応させることができる。

  • キーワード:農業機械、ISOBUS、ISO 11783、電子制御ユニット、市販機組み込み
  • 担当:農業技術革新工学研究センター・次世代技術研究領域・自律移動体ユニット
  • 代表連絡先:
  • 分類:普及成果情報

背景・ねらい

国策としてスマート農業を推進する中、ICT化されたセンサ・トラクタ・作業機械・データベースをスムーズにつなげる仕組みの導入が急務となっている。そこで、農業機械相互接続の国際標準であるISOBUSに注目し、それに対応した電子制御技術を開発、国産技術としては初めてのISOBUS認証を取得する。本成果及び認証取得に向けたノウハウを活用し、国産作業機械のISOBUS対応を低コストかつ容易に実現する。

成果の内容・特徴

  • AEF(Agricultural Industry Electronics Foundation、国際農業電子財団)が指定するテスト機関に持ち込み、ISOBUSで規定しているハードウエア仕様とUT・TC-BAS・TC-GEO・TC-SCの各クライアント機能について、ISOBUS認証を取得した肥料散布作業機用電子制御ユニット及びソフトウェアである(図1)。
  • UTクライアント機能は、トラクタキャビン内に設置される共通端末に実装されたUTサーバに、オペレータが直接操作するためのユーザーインタフェースを表示し、オペレータによる操作を受け取る機能である(図2)。現在、UTは日本語を正式にサポートしていないが、文字を画像にしたものを表示させることで、日本語への対応が可能である。
  • 3種類のTCは共通端末に内蔵されたTCサーバからの指示に従い動作するクライアント機能である。TC-BASはISOBUSで規定された共通ファイルを読み書きする機能、及び作業ログを作成する機能である(図3)。TC-GEOは予め与えられた散布量などの作業パラメータが書かれたマップを参照して作業する機能、TC-SCは作業幅を自動的に変更し、ほ場外への無駄な作業や、既に作業を行ったエリアでの重複作業を防ぐ機能である(図4)。
  • 認証を取得する過程で取得した技術やノウハウは、国内メーカーに提供可能であり、メーカーは低コストかつ容易に作業機械をISOBUSに対応させることができる。メーカーの枠組みを越えた接続互換性の実現、ICTデータの活用・生成、海外のISOBUS対応機器マーケットへの売り込みが可能となる。

普及のための参考情報

  • 普及対象:国内農業機械メーカー。
  • 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:
    ISOBUS対応トラクタの普及が進んでいる北海道等の大規模畑作地域、おおよそ20万ha。
  • その他:
    農研機構が推進している農業機械技術クラスターで、農業機械系メーカー・団体数社とISOBUS対応作業機械の開発を進めている。

具体的データ

図1 AEFのWebサイト上に表示された電子制御ユニット,図2 UTサーバ上に表示された、ユーザーインタフェース,図3 市販ISOBUS対応ソフトウエア上に表示した作業ログ,図4 TCサーバ上に表示された電子制御ユニットの動作状況

その他

  • 予算区分:交付金、その他外部資金(SIP)
  • 研究期間:2014~2020年度
  • 研究担当者:西脇健太郎、奥野林太郎、元林浩太、濱田安之(農業情報設計社)
  • 発表論文等:
    西脇ら(2021)職務作成プログラム「UTおよびTCのISOBUS認証を取得した粒剤散布機用ECUソフトウエア」、機構-S33