紫斑点病抵抗性の中生スーダングラス自殖系統「JNK-2」

要約

「JNK-2」は中生のスーダングラスの自殖系統である。高消化性(bmr-6)および紫斑点病抵抗性遺伝子(ds1)を持ち、一代雑種品種「ナツサカエ」の花粉親系統として利用できる。

  • キーワード:自殖系統、スーダングラス、高消化性、紫斑点病抵抗性、飼料作物育種
  • 担当:九州沖縄農業研究センター・畜産草地研究領域・飼料作物育種グループ
  • 代表連絡先:電話0287-37-7000
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

ソルガムの栽培品種は、細胞質雄性不稔系統を種子親とし、自殖系統を花粉親とする一代雑種(F1)が主流であり、優良F1品種の育成には優秀な親系統が不可欠である。ソルガムでは、一代雑種の諸特性が優れる親自殖系統の育成を行っており、その一環として高消化性および紫斑点病抵抗性遺伝子を持つ親自殖系統を育成する。

成果の内容・特徴

  • 「IS3238(乾性、紫斑点病等に強い)×系04k-1(乾性、高消化性(bmr-6)、紫斑点病抵抗性)」を母材とし、耐病性および耐倒伏性等で選抜して育成した自殖系統である(図1)。
  • 初期草丈は、高消化性遺伝子(bmr-6)を有する自殖品種「JK-2」および「JN501」よりやや低い(表1)。
  • 出穂期は、中生の「JK-2」と「JN501」より4日遅く、早晩性は"中生"に属する。稈長は195cmの中稈、穂長33.5cm、稈径は10.3mm、茎は乾性である(表1)。
  • 紫斑点病抵抗性は"強"で、大きな病斑は認められない(表1、図2)。
  • 本系統を花粉親とする「ナツサカエ」は早生のスーダン型ソルガムで、出穂期刈り収穫における1番草および2番草の乾物収量は、それぞれ、「峰風」比で110%および120%と多収で、年間乾物収量は1580kg/10aである(表2)。「ナツサカエ」の紫斑点病抵抗性は"強"で、大きな病斑は認められない。

成果の活用面・留意点

  • スーダン型ソルガム一代雑種「ナツサカエ」の花粉親として利用できる。
  • 高消化性遺伝子(bmr-6)を有しているため、同遺伝子を有する細胞質雄性不稔系統との組合せで高消化性一代雑種系統を開発することができる。
  • 慣行の播種時期で播種する。

具体的データ

図1 「JNK-2」の草姿(九州沖縄農研、2015年8月6日);図2 幼苗接種試験における紫斑点病
罹病程度(供試菌株:BC3)(九州沖縄農研);

その他

  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2004~2017年度
  • 研究担当者:高井智之、我有満、桂真昭、山下浩、上床修弘、波多野哲也、松岡誠、荒川明、木村貴志、松岡秀道、宮坂幸弘(長野畜試)、海内裕和(長野畜試)
  • 発表論文等:高井ら「JNK-2」品種登録出願第33172号(2018年6月11日)