農業環境研究における研究成果、データをオープン化する手引きを作成
要約
研究成果の普及・流通を促進するため、成果やデータをオープン化するためのガイドラインとして、オープン化の手引きを作成した。これを参考にすることで研究成果やデータのオープン化が容易に実施できるようになり、その普及、流通に貢献する。
- キーワード:オープンサイエンス、オープンデータ、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス、知的財産
- 担当:農業環境変動研究センター・環境情報基盤研究領域・総合評価ユニット
- 代表連絡先:電話029-838-8240
- 分類:研究成果情報
背景・ねらい
2013年にG8で合意されたオープンデータ憲章を受け、政府情報や研究情報をオープン化する動きが活発化している。様々なデータをオープン化することで、研究におけるイノベーションの促進が期待されている。農林水産研究においても、農林水産技術会議による知的財産に関する方針の中で、研究成果の普及をはかる上でオープンにすべき成果とクローズにすべき成果を戦略的に定める必要性が示されている。しかし、農林水産研究においてはオープンデータという新しい考え方が十分に整理されておらず、適切に利用できる状態にはない。そこで本研究は、オープンデータをとりまく様々な情報をまとめあげ、農林水産研究における研究成果、データのオープン化に向けたガイドラインとして、オープン化の手引きを作成する。
成果の内容・特徴
- オープン化の手引きはカタログサイトNIAES VIC(https://niaesvic.dc.affrc.go.jp/dataset/opendata-guide)で取得できる(図1)。作成した手引きは全24ページで構成されており、手引き自体もオープンデータとして自由な利用、加工、再配布が認められている(図2)。
- 手引きはオープンデータの背景情報から、実際にどうやってオープンデータを作成するかという技術的な内容等、研究成果、データのオープン化に必要な情報を平易にまとめているため、基本的にこれに従うだけで研究成果やデータをオープン化することができる(図3)。
- 各解説には論文をはじめとした情報源が明記されており、より詳細な情報を得たい場合に参照すべき情報もまとめている。
- この手引きに従い、農業環境変動研究センター(前・農業環境技術研究所を含む)において作成された研究成果、データをオープン化する取り組みを実施している。これによってオープン化された各情報は、カタログサイトNIAES VIC(https://niaesvic.dc.affrc.go.jp/)から参照、取得することができる。
成果の活用面・留意点
- 実際に研究成果やデータをオープンデータ化する際の参考にすることはもちろん、オープンデータ自体の基本的な内容を知る上でも有用な情報がまとまっているため、オープンデータについて学ぶ初学用としても利用できる。
- 手引き本体もオープンデータであり、出典を明記すれば自由な改変が可能であるため、利用する組織等の事情に合わせたカスタマイズ等を行うことができる。
具体的データ

その他
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2016~2017年度
- 研究担当者:大澤剛士、岩崎亘典、木浦卓治
- 発表論文等:
1)大澤(2017) 情報管理、60(1):11-19
2)大澤・戸津(2017)保全生態学研究、22(2):371-381
3)岩崎・飯田(2017)GIS 理論と応用、26(1):37-43
4)木浦・深津(2018)農業情報研究、印刷中