旅客携帯品の加熱不十分な豚肉加工品から発見された感染力のあるASFV
要約
ASF発生地域からの海外渡航者が手荷物として不法に持ち込もうとする豚肉・豚肉加工品には感染力のあるASFVが存在する場合がある。
- キーワード:ASF(アフリカ豚熱)、ASFV(アフリカ豚熱ウイルス)、旅客携帯品、ウイルス分離
- 担当:動物衛生研究部門・越境性感染症研究領域・アフリカ豚熱ユニット
- 代表連絡先:電話 029-838-7738
- 分類:研究成果情報
背景・ねらい
ASF(アフリカ豚熱)は豚及びイノシシの致死的な熱性感染症であり、海外悪性伝染病に指定されている。日本では未発生だが、2018年10月に国内の空港にて国際旅客の携帯品として収去された豚肉加工品からASFウイルス(ASFV)の遺伝子が初めて検出され、以後も同様の事案が継続している。これまで旅客携帯品から直接ASFVを分離したという報告はないが、過去の発生例を鑑みると海外から不法に持ち込まれる豚の精肉や加工品によりウイルスが国内に持ち込まれる危険性がある。
そこで、本研究ではASFの侵入阻止に資するため、動物検疫所にて収去したASFV遺伝子検査陽性の豚肉加工品からASFV分離を試み、感染力のあるASFVが存在するか否かを明らかにする。
成果の内容・特徴
- カタラーゼ加熱確認試験にて加熱処理不十分と判定された豚肉加工品の検体乳剤を肺胞マクロファージ(PAM)細胞に接種すると、感染力のあるASFVを含む検体では、3日目以降からASFVに特異な血球吸着(HAD)反応が認められる(図1、2)。
- HAD陽性を示した細胞培養上清を新たに準備したPMA細胞に継代接種すると、ウイルスの増殖に伴い、細胞培養上清にASFV特異遺伝子が検出される(図3)。
- 感染力のあるASFVがPAM細胞に感染すると、細胞質内にASFVに特異な蛋白質(抗原)が作られ、抗原に反応する抗体により検出できる(図4)。
- 旅客の携帯品には、HAD陽性、ASFV特異遺伝子陽性およびASFV特異抗原陽性を示す、感染力のあるASFVに汚染された豚肉・豚肉加工品が含まれる。
- ASFVの分離報告がこれまでなかった旅客携帯品の豚肉加工品からASFVの分離に成功。
成果の活用面・留意点
- 日本へのASFV侵入リスクの検討および侵入防止対策についての重要な知見になる。
具体的データ

その他
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2018~2019年度
- 研究担当者:
舛甚賢太郎、山添麗子、亀山健一郎、藤澤希(農林水産省)、小林芳史(農林水産省)、岩田啓(農林水産省)、仙波裕信(農林水産省)、山田学、遠藤明仁(農林水産省)、國保健浩、柳澤成江(農林水産省)、山川睦
- 発表論文等:舛甚ら(2019)日本豚病研究会報、74:7-14