安定性と再現性が確保されたカンキツの品種識別技術マニュアル
要約
ISO 13495に基づいた試験室内妥当性試験で安定性と再現性を確認したカンキツの品種識別技術マニュアルである。12種類のCAPSマーカーを用い、主要なカンキツ22品種の識別できる。
- キーワード:カンキツ、CAPSマーカー、品種識別、DNA、遺伝子型
- 担当:果樹茶業研究部門・カンキツ研究領域・カンキツゲノムユニット
- 代表連絡先:電話 029-838-6436
- 分類:普及成果情報
背景・ねらい
わが国で育成された果樹品種の海外流出およびその生産物の海外からの流入は、国内の果樹生産に影響を与える事が危惧される。育成者権や生産者の保護に向けてニホンナシ、ブドウ、リンゴの科学的に信頼できる品種識別技術が確立されている。一方、主要果樹の一つであるカンキツでは最適化されたマニュアルは公表されていない。そこで、カンキツを対象に品種識別に有効なCAPSマーカーを用いたDNA品種識別技術マニュアルを作成し、その技術の試験室内妥当性試験により安定性と再現性が確認された信頼度の高い識別方法を開発する。
成果の内容・特徴
- 農研機構で育成されたカンキツ14品種を含む合計22品種の識別に利用可能である。(表1)。
- 論文で公表されているCAPSマーカーのうち、農研機構種苗管理センターの再現試験の結果から、安定性に優れた12種類のマーカーを選択し、作成した品種識別技術マニュアルである。
- カンキツの品種識別に利用可能なCAPSマーカーは、Bf0036-2、Bf0158-3、Tf001、Tf0150、Tf0271、Tf0300、Tf0419、Tf0420、Tf0158-2、IF0208、Tf0318、Tf0386の12種類で、プライマー配列、座乗染色体、増幅サイズ、切断する制限酵素などを表2に示す。
- ISO 13495(食品-特異核酸を使用する品種同定法の選択原理及び妥当性確認基準)に基づき、農研機構種苗管理センターで実施したカンキツの品種識別マーカーの試験室内妥当性確認により、マーカーの安定性と再現性を評価している。
普及のための参考情報
- 普及対象:農業・食品関連試験研究機関、税関等の検査機関、食品検査業者
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:育種事業を実施する試験研究機関、税関などで利用されることが期待される。
- その他:開発したカンキツの品種識別技術マニュアルに掲載したマーカーの詳しい情報は、ミカンゲノムデータベース(MiGD)のCAPSマーカーデータベースで閲覧できる。DNA分析によるカンキツの品種識別を2019年4月から農研機構種苗管理センターで実施している。
具体的データ
その他
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2017~2019年度
- 研究担当者:島田武彦、藤井浩、遠藤朋子、吉岡照高、成田知聡、押野秀美、川上司、後藤洋、大村三男(静岡大)
- 発表論文等: