Googleマイマップを用いた水利施設GIS構築手法マニュアル

要約

Googleマイマップで水利施設マップを作成し、モバイル端末にそれを表示して現在地を確認しながら施設位置を把握したり、関係者間で共有したりする手順等を記したマニュアルである。土地改良区や地方公共団体等の職員が水利施設の管理に活用することができる。

  • キーワード:水利施設、GIS、Google、モバイル、情報共有
  • 担当:農村工学研究部門・農地基盤工学研究領域・農地利用ユニット
  • 代表連絡先:電話029-838-7677
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

GISソフトを利用すると農業水利施設の管理の効率化を図ることができるが、施設管理にGISソフトを利用している土地改良区はまだ少ない。その理由の一つとして、汎用型のGISソフトの場合には、ある程度専門的な知識がなければ操作方法の習得が難しいこと、特定業務用のGISソフトの場合には、専門家のサポートがなければ航空写真などのデータセットの前準備が難しいことがあげられる。
そこで、土地改良区や地方公共団体等の職員が手軽に利用できるWebアプリ「Googleマイマップ」(Google社)に着目し、同職員がそれを用いて施設管理の効率化を図れるように、Googleマイマップを用いて水利施設GISを構築する手法をマニュアル化する。

成果の内容・特徴

  • GoogleアカウントでログインしてGoogleマイマップを利用すれば、Googleマップ(Google社)に掲載されている航空写真の上に独自のマップが作成できる。そのマップは、クラウド上に保存され、モバイル端末で利用したり、関係者間で共有したりできる。この仕組みを利用して水利施設GISを構築(図1)する手順をマニュアル化し、「Googleマイマップを用いた水利施設GIS構築手法マニュアル」としてインターネット上で公開している。
  • 図2は、Googleマイマップで作成された、ある土地改良区が管理する水利施設のマップである。その水利施設マップは、「水路」、「分水工・放水工等」、「その他の施設」、「災害記録」、「補修記録」という5つのレイヤからなる。各レイヤの空間データは、施設位置や台風被害地点を示す図形データと、施設情報や被害情報が記された属性データからなる。空間データには、施設や被害状況の写真がリンクされている。
  • スマートフォンやタブレット端末でアプリ「Googleマップ」を開いて、Googleアカウントでログインして水利施設マップを読み込むと、航空写真上に施設の位置と現在地が表示され(図3)、現在地を確認しながら施設に向かったり、施設情報を見たりできるようになる。また、画面をロングタップして「ラベル」というポイントが作成できるので、水路の劣化状況調査においてマップ上にひび割れ等が見つかった地点を記録することもできる。
  • 水利施設マップを他の職員のGoogleアカウントに共有登録すると、その職員もGoogleマイマップで水利施設マップを編集したり(共有登録時に"編集者"を選択した場合)、自分のモバイル端末で水利施設マップを利用したりできるようになる。
  • GoogleマイマップにはKMZファイルのインポート機能があるので、水路が航空写真に写っていない場合(管水路や開水路の暗渠区間等)にはGoogle Earth Pro(Google社)を用いて水路の平面図をベースに水路のKMZファイルを作成し、それをGoogleマイマップで読み込んで、レイヤ「水路」を作成すると良い。マニュアルには、その手順も記している。

成果の活用面・留意点

  • 水利施設マップ以外に、生きもの調査マップ、多面的機能支払活動記録マップなど様々な適用が考えられる。

具体的データ

図1 水利施設GISの全体像,図2 水利施設マップ(パソコンのGoogleマイマップ画面),図3 水利施設マップ(スマートフォンのGoogleマップ画面)

その他