メロン退緑黄化病抵抗性個体の選抜に有効なDNAマーカー

要約

メロン系統I-10が有するメロン退緑黄化病抵抗性には1個の主要な遺伝子が関与する。この遺伝子座は第1染色体にあり、この遺伝子座に連鎖するDNAマーカーを用いることで、I-10と罹病性品種との交雑後代から抵抗性個体を選抜できる。

  • キーワード:メロン、ウリ類退緑黄化ウイルス、CCYV、病害抵抗性、DNAマーカー
  • 担当:野菜花き研究部門・野菜育種・ゲノム研究領域・ウリ科・イチゴユニット
  • 代表連絡先:電話 050-3533-1833
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

メロン退緑黄化病はウリ類退緑黄化ウイルス(Cucurbit chlorotic yellows virus; CCYV)を病原とするウイルス病で、タバココナジラミによって半永続的に伝搬される。CCYVに感染すると、葉に退緑した小斑点を生じ、その後、葉全体が黄化する。果実に病斑は現れないが、果実重および糖度は低下する。そのため抵抗性品種の育成が求められているが、抵抗性検定にはCCYVを保毒したタバココナジラミを用いたウイルス接種が必要であり、抵抗性個体の選抜は容易でない。そこで、メロン退緑黄化病抵抗性個体の選抜を容易にするDNAマーカーを開発する。

成果の内容・特徴

  • メロン退緑黄化病抵抗性系統I-10と罹病性品種「アールスフェボリット春系3号」(春系3号)または「AnMP-5」(F1品種「アルシス」の親品種)との交雑F2集団を供試して、メロン退緑黄化病抵抗性検定を行うと、I-10由来のメロン退緑黄化病抵抗性に関与する1個の寄与率の高い遺伝子座が第1染色体に検出される(図1)。
  • メロン退緑黄化病抵抗性系統I-10と罹病性品種「春系3号」または「AnMP-5」との交雑F2集団を供試して、遺伝子座に連鎖するマーカー遺伝子型と抵抗性程度との関係を調査した場合、マーカー遺伝子型が抵抗性親ホモ(AA型)である集団の発病評点(この値が低いほど、抵抗性程度が高いことを示す)は、他の集団(BB型またはAB型の集団)に比べて低い(表1)。

成果の活用面・留意点

  • I-10由来のメロン退緑黄化病抵抗性に連鎖するDNAマーカーを用いて、I-10と罹病性品種との交雑後代から抵抗性個体を選抜できる。ただし、DNAマーカーによる選抜だけでなく、抵抗性検定による確認を併用することが望ましい。
  • I-10(JP番号138332)の種子は、農研機構・農業生物資源ジーンバンクから入手できる。

具体的データ

図1 メロン系統I-10と罹病性品種との交雑F2集団における連鎖地図,表1 連鎖するDNAマーカー遺伝子型と平均発病評点との関係

その他

  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2010~2018年度
  • 研究担当者:川頭洋一、下村晃一郎、前田昭一、大和陽一、上田重文、奥田しおり、奥田充、杉山充啓
  • 発表論文等:Kawazu Y. et al.(2018)Euphytica 214:239 https://doi.org/10.1007/s10681-018-2321-1