日持ち性の優れる切り花用ダリア新品種エターニティシリーズの育成
要約
「エターニティトーチ」、「エターニティロマンス」、「エターニティルージュ」は、それぞれ暗赤色セミカクタス咲き、桃色フォーマルデコラ咲き、深赤色フォーマルデコラ咲きの良日持ち性ダリア品種で、日持ち性並の対照品種「かまくら」の1.4~2.1倍の切り花日持ち日数を示す。
- キーワード:ダリア、日持ち性、日持ち日数、交雑育種
- 担当:野菜花き研究部門・花き遺伝育種研究領域・品質育種ユニット
- 代表連絡先:
- 分類:普及成果情報
背景・ねらい
日持ち性は花きの重要形質であり、消費者は日持ちの良い切り花を求めている。ダリアは人気の高い切り花品目であるが、日持ちが短いという欠点があり、消費のさらなる拡大に向け日持ち性の改良が強く望まれている。そこで、日持ちの優れるダリアを育成する。
成果の内容・特徴
- 「エターニティトーチ」、「エターニティロマンス」、「エターニティルージュ」とも、日持ちの比較的優れる品種の「ミッチャン」を共通親として持つ(図1)。
- "暗赤色"(RHSカラーチャート187B)、花径15.1cm、"セミカクタス咲き"の「エターニティトーチ」(図2A)は優れた日持ち性を示し、花径が大きく豪華な花型で観賞性が高く、露心がほとんど発生しない。早晩性は"やや晩生"である。
- "桃色"(RHSカラーチャートN74D)、花径11.6cm、"フォーマルデコラ咲き"の「エターニティロマンス」(図2B)は優れた日持ち性を示し、桃色品種としては花径が大きく、ボリュームのある切り花を採花できる。早晩性は"早生"で生産性に優れる。
- "深赤色"(RHSカラーチャート60B)、花径10.3cm、"フォーマルデコラ咲き"の「エターニティルージュ」(図2C)は優れた日持ち性を示し、花色はくすみのないきれいな深赤色で、切り花にボリュームがある。早晩性は"早生"で生産性に優れる。
- 3品種の切り花の日持ち日数は、23°C、相対湿度70%、12時間日長の条件で、蒸留水に生けて6.9~12.0日と、日持ち性並の対照品種「かまくら」の1.4~2.1倍である(図3)。
- 3品種の切り花の日持ち日数は、品質保持剤のGLA液(1%グルコース+ケーソンCG 0.5 mL・L-1+硫酸アルミニウム50mg・L-1から構成される品質保持剤)に生けると9.8~13.4日に向上する(図3)。育成地だけでなく、全国5カ所の栽培環境下でも良日持ち性を示す。
普及のための参考情報
- 普及対象:ダリア生産者。
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国のダリア生産地で栽培可能である。
- その他:種苗の提供は2022年3月の予定である。
具体的データ

その他
- 予算区分:交付金、委託プロ(収益力向上)
- 研究期間:2014~2020年度
- 研究担当者:小野崎隆、東未来
- 発表論文等:
- Onozaki T. and Azuma M. (2019) Hort. J. 88:521-534
- 小野崎、東「エターニティトーチ」品種登録出願公表第34643号(2020年7月16日)
- 小野崎、東「エターニティロマンス」品種登録出願公表第34641号(2020年7月16日)
- 小野崎、東「エターニティルージュ」品種登録出願公表第34642号(2020年8月13日)