迅速密封技術「フレコンラップ法」のコツをわかりやすく解説する技術紹介DVD
要約
「フレコンラップ法」について、新たに取り組んだ小さなサイズのフレコンを用いた実例をはじめ、「フレコンラップ法」に必要な資材、機器、作業のコツ等、「フレコンラップ法」の特徴を含め、動画と絵を用いてわかりやすく解説したDVDである。
- キーワード:フレコンラップ法、サイレージ、DVD、飼料用米、トウモロコシ子実
- 担当:東北農業研究センター・畜産飼料作研究領域・飼料利用グループ
- 代表連絡先:電話019-643-3556
- 分類:過年度普及成果情報(2017年度)
背景・ねらい
近年の自給濃厚飼料生産の広がりを受け、飼料用米やトウモロコシ子実などの穀実サイレージ調製が注目されている。2017年度に「フレコンラップ法」と大型破砕機を用いた穀実サイレージの迅速調製方法について紹介(大型破砕機と「フレコンラップ法」による破砕穀実の迅速なサイレージ調製方法、2017年度普及成果情報http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/popular/result040/2017/17_004.html)し、様々な地域で取り組みが始まっている。その中で、実施にあたっての問い合わせも多く、「フレコンラップ法」を効率的に行うためのポイント(フレキシブルコンテナ(フレコン)の直径とラッピングマシンの適応ロール寸法を合わせることや、フレコンへの穀実の投入量等)を使用者に広く知らせる必要性が明らかになってきた。また、小規模調製の現場においては、新たなフレコンサイズ(40Lや100L容)での試みも始まっている。そこで、誰でも失敗なく「フレコンラップ法」に取り組めるように、実演動画を解説付きでとりまとめた技術紹介DVDを作成し、生産現場への普及を加速する。
成果の内容・特徴
- 「フレコンラップ法」について、現地での実証事例により、フレコンの直径とラッピングマシンの適応ロール寸法を合わせること、最適なフレコンへの穀実の投入量など、牧草用のラッピングマシンで失敗なくフレコンをラッピングするポイントを抽出(図1)。
- また、現地での応用により「フレコンラップ法」は前普及成果情報で紹介した500L、1000L容フレコン以外にも40Lや100Lのフレコンによる穀実サイレージの調製にまで適応が拡大できる(図2)。
- 加えてフレコンはラッピングされたことにより長期の屋外貯蔵が可能であり、また、フレコンラップのための資材費は内袋を用いた従来法の2/3である(図3)。
- 以上のことを含め、生産者が具体的な作業がわかるようにフレコンラップ調製風景の動画および写真・図を用いてそのコツを解説した約21分間のDVDを作成し(図4)、配布する。
普及のための参考情報
- 普及対象:飼料生産コントラクター、耕畜連携コントラクター、畜産農家営農集団
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国、100ヶ所、1ヶ所の調製面積10ha
- その他:
- このDVDは農研機構東北農業研究センターから無料で配布している。これまでに51ヶ所の生産組織等に配布している。
- DVDの内容を約4分に短縮したYouTube版も農研機構webで公開中である(https://www.youtube.com/watch?v=0n2NlqsUrao)(2019年2月公開)。
- このDVDをもとに「フレコンラップ法」に取り組んだトウモロコシ子実生産農家の破砕トウモロコシ子実サイレージ調製作業能率は5.5t/hで、前年(導入前)の約3倍の栽培面積(11.2ha)、調製量(91t)となっている。
- フレコンをラッピングマシンで密封する方法は、メーカーが想定していない使用法であるので、ラッピングの際は通常よりもスピードを緩めるなど、安全に十分注意して作業をすること。
具体的データ

その他
- 予算区分:交付金、委託プロ(収益力向上)、その他外部資金(27補正「地域戦略プロ」)
- 研究期間:2015~2018年度
- 研究担当者:嶝野英子、河本英憲、神園巴美、出口新、内野宙、藤竿和彦、宮路広武、長谷川啓哉、幸田和也
- 発表論文等:
- 嶝野ら(2018)日本草地学会誌、64(3):175-179
- 魚住ら(2018)日本草地学会誌、64(3):180-188