防草性に優れた太陽光反射率の高い丈夫な白黒マルチシート
要約
開発した白黒マルチシートは、防草性に優れ、太陽光反射率が高く、安価で引き裂き強度が高い。透湿性の異なる、微細な穴があいているマルチシートと穴のあいていないマルチシートがあり、産地の栽培条件に応じ使い分けることができる。
- キーワード:マルチシート、防草性、透湿性、反射率、低コスト
- 担当:西日本農業研究センター・傾斜地園芸研究領域・カンキツ生産グループ
- 代表連絡先:電話 0877-62-0800
- 分類:普及成果情報
背景・ねらい
カンキツ栽培では、高品質果実生産のためにシートマルチ栽培が広く普及しており、生産現場で重要な資材となっている。西日本農業研究センターでは、高品質カンキツ果実を生産するために、周年マルチ点滴かん水同時施肥法(マルドリ方式)の普及を進めており、マルチシートは点滴かん水システムとならんで重要な構成資材である。マルドリ方式栽培は周年マルチ敷設を基本とするため、マルチシートには優れた防草性や耐久性が要求される。同時に果実の高品質化を進めるため、シート表面からの反射光により樹内部の光環境を改善する必要がある。しかし、既製品(※注)でこれらの条件を満たすものは極めて少なく、また導入コストが高いことから、生産現場からは安価な資材が求められている。そこで、これらの要望に対応した反射性白黒マルチシートを開発した。
(※注)成果作成時点(2016年)の既製品。以下同じ。
成果の内容・特徴
- 開発した白黒マルチシート(図1)は、表面が白色のコーティングで、裏面は黒色のコーティングがなされており、両面を栽培条件に応じて使用できる。白色部分を表側にして圃場に敷設した場合、既製品の反射マルチシートと同程度の太陽光反射率を示す(図2)。
- 白黒マルチシートには微細な穴のあいている(穴有)シートと穴のない(穴無)シートの2仕様があり、穴有シートは、過剰な土壌水分を蒸散させる必要がある園地で使用できる。穴無シートは、雨水を透過しないため、長期間使用する際はシート下にかん水チューブを敷設し、適切な水管理を行う必要がある。
- 白黒マルチシートの引き裂き強度は、穴有、穴無シートいずれも既製品より引き裂き強度が強く、耐久性が高い(図3)。
- 白黒マルチシートを敷設した園地では、穴の有無に関わらず草の発生が抑制され、顕著な防草効果を示す(図4)。クマザサ等のササ属の雑草が繁茂する園地においても防草効果が高い。
- 開発した白黒マルチシートの価格は既製品よりも10~20%安価である。
普及のための参考情報
- 普及対象:カンキツ類を中心とした永年性の園芸作物生産者
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国の永年性の園芸作物生産地
- 価格:100円/m2(2016年テスト販売時の参考価格)
具体的データ

その他
- 予算区分:交付金、その他外部資金(25補正「革新プロ」)
- 研究期間:2008~2016年度
- 研究担当者:國賀武、竹内新二(中国紙工業)、星典宏、根角博久、喜多正幸
- 発表論文等:
1) 國賀ら(2013)近畿中国四国農業研究、22:17-20
2) 國賀ら(2016)農業生産技術管理学会雑誌、23(1):9-14