抑草剤による瀬戸内地域の芝生畦畔における7月の草刈り代替
要約
瀬戸内地域における農村の芝生畦畔では、5月、7月、9月の年3回草刈りのうち、7月草刈りを6月下旬から7月下旬の抑草剤ビスピリバックナトリウム塩液剤1回処理に代替して、年3回草刈り並みの雑草発生量で維持管理ができる。
- キーワード:芝生畦畔、シバ、草刈り、抑草剤、チガヤ
- 担当:西日本農業研究センター・水田作研究領域・栽培管理グループ
- 代表連絡先:電話 084-923-4816
- 分類:研究成果情報
背景・ねらい
シバ(Zoysia japonica)を主体とする瀬戸内地域における芝生畦畔では群落高で30cmを目安に、5月、7月、9月の年3回の草刈りが行われるが、7月草刈りは暑さ厳しい時期の作業である。そこで、7月草刈り(7月下旬に実施)の代替として、水田畦畔を対象にした抑草剤ビスピリバックナトリウム塩液剤の1回処理を検討する。
成果の内容・特徴
- ビスピリバックナトリウム塩剤(有効成分3.0%、500ml/10a)を6月下旬から7月下旬の時期に1回処理した場合、9月の草刈り前の乗算優占度の合計(m3/m2)は、2016年試験では平均値で0.07、2017年試験では平均値で0.15となり、7月草刈りを行った対照区(2016年試験では0.06、2017年試験では0.15)と同程度である(図1)。また、同時期の剤処理では、両試験で群落高は対照区と比較して高い傾向であるが、ともに最も群落高の高い7月上旬においても、2016年試験は35cm、2017年試験は32cmである(図1)。一方、6月上旬の剤処理では、2017年試験で見られるように、9月草刈り前の乗算優占度の合計は0.31、群落高は45cmとなり、対照区と比較して大きくなる(図1)。
- 2016年試験、2017年試験ともに、試験期間中はチガヤ(Imperata cylindrica)が優占し(データ略)、ビスピリバックナトリウム塩剤を6月下旬から7月下旬の1回処理した場合、9月草刈り前までのチガヤの乗算優占度の増減は、2016年試験の6月下旬を除いて両年試験において対照区の増減と同じ傾向である(図2)。同時期の剤処理での9月草刈り前のチガヤの乗算優占度は、2016年試験では平均値で0.05、2017試験では平均値で0.11となり、対照区(2016年試験では0.04、2017年試験では0.14)と同程度である(図2)。一方、6月上旬の剤処理では、2017年試験で見られるように9月草刈り前のチガヤの乗算優占度は対照区に比較して増大する(図2)。
- 6月下旬から7月下旬の抑草剤1回処理により対照区と同程度の芝生畦畔の維持管理が可能であることから7月の草刈りの代替として利用可能である。
成果の活用面・留意点
- 西日本農業研究センター天神地区(福山市)の2012年から試験開始まで年3回草刈りで管理した芝生畦畔(品種:朝駆、法面は南向き、斜度30~35%)で、2016年と2017年に同じ畦畔で試験を実施した。両年試験は対照を含む処理区の配置は異なるため、7月の草刈り代替の抑草剤処理の連年試験ではない。
- 優占したチガヤは、抑草剤の処理時に残存していたもので、抑草剤を利用する場合、予め、グリホサートイソプロピルアミン塩剤のスポット処理で、チガヤを除去することが望ましい。
具体的データ

その他
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2016~2019年度
- 研究担当者:伏見昭秀
- 発表論文等: