要約
キャベツの球形比と積算気温との関係は、寒玉系品種の収穫の開始時期、結球緊度と積算気温との関係は収穫適期の終了時期の判定に有用である。両者を併用することで収穫適期判定の信頼性が向上する。
- キーワード : 寒玉系品種、球形比、結球緊度、収穫適期、簡易判定
- 担当 : 中日本農業研究センター・温暖地野菜研究領域・栽培管理グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 研究成果情報
背景・ねらい
近年、わが国では食の外部化の進展にともない、加工・業務用野菜の需要が高まりをみせている。加工業者や外食チェーンなど加工・業務用野菜の実需者は、決められた日時に決められた数量を安定的に入手する定時・定量出荷を望むものの、露地野菜の生育は天候に大きく左右される。そのため、実需者と産地をむすぶ中間事業者は産地間で出荷調整を行う際、産地ごとの収穫適期を把握しておく必要がある。本研究では、加工・業務用野菜の主要野菜であるキャベツの寒玉系品種「おきなSP」を供試して得られたつくば市における圃場試験データをもとに、結球の球形比および結球緊度と定植後の積算気温との関係を明らかにする。そして、その関係を用いて寒玉系品種の収穫適期を簡易に判定する方法を提示し、加工・業務用キャベツのスムーズな出荷調整に資することをねらいとする。
成果の内容・特徴
- 結球の球高を球径で除することで得られる球形比は、結球開始期で1に近く、積算気温が増加するにつれて低下する(図1)。そして、1500°C前後で0.6程度に到達してからは、ほとんど変化しない(図2)。
- 結球の重量を体積で除することで得られる、いわば結球の充填度を表す結球緊度は、結球開始期に0.3g/cm3程度であり、積算気温が増加するにつれて上昇する(図3)。その上昇幅は1500°C前後から次第に低減し、0.65g/cm3程度で頭打ちになる。結球緊度が0.68g/cm3のとき、裂球する個体が圃場で観察される。
- 球形比と積算気温との関係は収穫適期の開始時期、一方、結球緊度と積算気温との関係は収穫適期の終了時期を判定するのに適している。両者を併用することで収穫適期判定の信頼性の向上が期待できる。
- 球形比および結球緊度と積算気温の関係式を用いることにより、寒玉系品種「おきなSP」の収穫適期を事前に把握できる(表1)。具体的には、平年値などを用いて求めた定植後の積算気温を関係式に代入することにより、収穫適期判定の目安とする球形比(0.60)および結球緊度(0.65g/cm3)に到達する時期を予測する。
- 球形比および結球緊度と積算気温の関係式は、「おきなSP」であれば、秋冬どりや初夏どりといった作型の違いに関わらず利用できる(図2、3)。
成果の活用面・留意点
具体的データ

その他
- 予算区分 : 交付金、文部科学省(科研費)
- 研究期間 : 2021~2024年度
- 研究担当者 : 石川葉子、岡紀邦、深山大介、中島隆博
- 発表論文等 : 石川ら(2024)農研機構研究報告、19:1-15