要約
畝立て同時二段局所施肥機を用いて高度化成肥料を二段施肥することにより、春まき夏どり作型および夏まき年内どり作型のキャベツ栽培において、施肥量を30%削減できる。また追肥も不要である。キャベツの結球重やサイズは標準栽培と差のないものが得られる。
- キーワード : 化学肥料、条施肥、省資源、施肥効率
- 担当 : 中日本農業研究センター・温暖地野菜研究領域・栽培管理グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 研究成果情報
背景・ねらい
化学肥料原料は、我が国ではそのほとんどを海外に依存しており、化学肥料の効率的な利用が求められている。キャベツ栽培では、施肥量や追肥回数は地域や作型によって多少の違いはあるが、基肥で全面全層施肥した上に追肥を1~2回行う方法が一般的である。一方、全面全層施肥に比べて、局所施肥により施肥効率が上昇して施肥削減が可能なこと、また、局所的に肥料濃度が高まることで硝酸化成が抑制され肥効がより持続することも分かっている。しかし、局所施肥はその施肥位置が作物に近すぎると濃度障害の恐れがあり、また作物から遠すぎると初期生育の遅延を招くなどの問題があった。このような問題を解決できる二段局所施肥機が開発されたが、本機は開発から間もないため実用事例が限られている。そこで本施肥機を使用してキャベツ栽培で二段局所施肥を行い、施肥削減さらには追肥省略が可能であることを明らかにする。
成果の内容・特徴
- 畝立て同時二段局所施肥機(図1)は、畝立てと同時に二段局所施肥を行う施肥機である。畝の上層(深さ0~5cm)に初期生育を確保するために少量の肥料を条施肥し、下層(深さ15cm付近)に残りの肥料を条施肥するので、従来の局所施肥の施肥位置に起因する不安定さを取り除ける(図2)。
- 高度化成肥料(14-14-14)を用いて全面全層の基肥施肥量をN-P2O5-K2O:200-200-200kg/ha、追肥1回をN-P2O5-K2O:50-50-50kg/haとする施肥法を標準(全層標準)として比較すると(表1)、全面全層と追肥のそれぞれの施肥量を30%減(全層30%減)とした場合は、キャベツ結球重が低下する(表2)。
- 高度化成肥料(14-14-14)を用いて、二段局所施肥(上層に全施肥量の1/5、下層に4/5、全量基肥で追肥なし)を行うと(表1)、施肥量を標準の30%減(二段30%減)としても全層標準と差のないキャベツ結球重やサイズ(直径・球高)が得られる(表2)。
- 二段局所施肥で下層の肥料を混合堆肥複合肥料(8-10-8)としても、高度化成肥料の時と同様に施肥量を30%減(二段30%減下層堆肥入)でも標準と差のないキャベツ結球重が得られる(表2)。
- 二段局所施肥でも施肥量を50%減(二段50%減、二段50%減下層堆肥入)とすると、キャベツ結球重は低下する恐れがある(表2)。
成果の活用面・留意点
具体的データ

その他
- 予算区分 : 交付金
- 研究期間 : 2021~2023年度
- 研究担当者 : 岡紀邦、佐野智人、千葉大基、深山大介、関正裕
- 発表論文等 : 岡ら(2025)農研機構研究報告、21:9-19