濃紫肉色の生食・加工用ジャガイモ新品種「ノーブルシャドー」
要約
「ノーブルシャドー」はアントシアニン(ペタニン)含量が高く、紫肉色を生かした調理加工ができる。既存品種の「シャドークイーン」に無いジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有し、疫病およびそうか病にも強い。いもは卵形で形も揃うため生産および加工両面の適性が高い。
- キーワード:バレイショ、アントシアニン、カラフルポテト、生食用、加工用
- 担当:北海道農業研究センター・寒地畑作研究領域・畑作物育種グループ
- 代表連絡先:
- 分類:研究成果情報
背景・ねらい
ジャガイモ品種は通常白~黄肉色であるが、アントシアニン色素を含む紫肉や赤肉色のジャガイモ品種はカラフルポテトとも呼ばれている。菓子類加工原料など加工食品として利用される他に、色鮮やかな見た目が一般消費者の人気を得ている。一方、既存の紫肉色品種「シャドークイーン」は、重要害虫であるジャガイモシストセンチュウ抵抗性が無く、いもの形状は作業性や歩留まりに問題があり、生産や加工の現場からはこれらを改良した新品種の開発が望まれている。そこで、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有し、いもの形状が整った濃紫肉色新品種を開発する。
成果の内容・特徴
- 「ノーブルシャドー」(旧系統名:勝系43号)は、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有する濃紫肉色品種の育成を目標として、濃紫肉色の「05091-13」を母、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性で赤肉色の「勝系28号」を父とする交配組合せから選抜した品種である。
- アントシアニン(ペタニン)含量が高く、紫肉色を活かした調理・加工が可能で、水煮いもの食味は既存の紫肉色品種「シャドークイーン」より優れる(表1、表2、図1)。
- 「シャドークイーン」には無いジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有し、疫病とそうか病にも"強"の抵抗性を示す(表1)。上いも重は「男爵薯」並である。
- いもが整った"卵形"で形状も揃うため生産・加工両面で扱いやすい(表1、図1)。
成果の活用面・留意点
- 北海道や東北などの生食・加工用バレイショ生産地帯で普及が見込まれる。
- 休眠期間が長く、萌芽や初期生育がやや遅いため、植え付け前に種いもの浴光育芽を十分に行う。
具体的データ

その他
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2010~2020年度
- 研究担当者:岡本智史、片山健二、浅野賢治、下坂悦生、赤井浩太郎、田宮誠司、西中未央、津田昌吾、小林晃、森元幸
- 発表論文等:片山ら「ノーブルシャドー」品種登録出願第35304号(2021年6月16日公表)