トラクタの踏圧に強く多収で耐寒性に優れるアルファルファ新品種「北海若葉」
要約
「北海若葉」は、トラクタ等の大型機械による作業時の踏みつけ(踏圧)に強いアルファルファ新品種である。さらに「ハルワカバ」より多収で永続性に優れ、耐寒性も強いことから、北海道におけるアルファルファ生産の安定性向上に貢献する。
- キーワード:アルファルファ、耐踏圧性、耐寒性、収量性、永続性
- 担当:北海道農業研究センター・寒地酪農研究領域・自給飼料生産グループ
- 代表連絡先:
- 分類:研究成果情報
背景・ねらい
アルファルファはタンパク質含量が高く、家畜の嗜好性も良好で、北海道において重要な採草用のマメ科牧草である。しかし、作業時におけるトラクタ等の車輪踏圧により株元の再生原基を含む冠部がダメージを受け、再生不良・遅延や損傷部位から病原菌が侵入して枯死することもある。そのため、アルファルファ株数の減少から裸地が発生して雑草が侵入すると、草地植生が悪化して、収量や栄養価の低下を招く。
そこで、本研究では大型トラクタの踏圧に強い個体を選抜し、草地の収量が低下しにくい耐踏圧性に優れるアルファルファ品種を育成する。
成果の内容・特徴
- 「北海若葉」は、耐踏圧性で2世代選抜した7系統の中で最も優れた1系統の残存株から耐踏圧性に優れる48個体を用いて集団選抜法により育成した品種である。
- 大型トラクタの車輪踏圧の有無で評価した耐踏圧性は、"強"基準品種「Ameristand403T」と同等以上で、「ハルワカバ」より優れる(表1)。
- 3カ年合計乾物収量は、全道平均で標準品種「ハルワカバ」比105%と多収である(表2)。
- 2年目に対する3年目の収量比が「ハルワカバ」より高く、永続性はやや優れる(表3)。
- 耐寒性および雪腐病に対する耐病性は"強"判定で、「ハルワカバ」の"中~やや強"に対して優れる(表3)。
- バーティシリウム萎凋病抵抗性は"強"基準品種「Vertus」と同等で"強"、葉枯性病害罹病程度(主にそばかす病)は「ハルワカバ」よりやや低い(表3)。
- 開花始日は「ハルワカバ」とほぼ同日で、早晩性は"早生"に属する(表3)。
- 倒伏程度は、1、2番草が「ハルワカバ」と同程度で、3番草でやや低い(表3)。
- チモシーとの混播におけるマメ科率は「ハルワカバ」より高く、オーチャードグラスとの混播では同程度である(表3)。
成果の活用面・留意点
- 栽培適地は、北海道全域である。
- チモシーと混播する場合の播種量は、0.3kg/10aを上限とする。
具体的データ

その他
- 予算区分:交付金、農林水産省(収益力向上のための研究開発)
- 研究期間:2011~2019年度
- 研究担当者:廣井清貞、奥村健治、佐藤広子
- 発表論文等:廣井ら「北海若葉」 品種登録出願公表第35255号(2021年12月9日)