要約
「だいち」は、熟期が北海道の"中生の中"に属し、すす紋病抵抗性が強く、耐倒伏性に優れる。収量性は同熟期の「おおぞら」より多収である。
- キーワード : トウモロコシ、サイレージ、品種、すす紋病、倒伏、飼料作物育種
- 担当 : 北海道農業研究センター・寒地酪農研究領域・自給飼料生産グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 普及成果情報
背景・ねらい
近年の濃厚飼料価格の高騰もあり、高栄養で多収な自給粗飼料であるサイレージ用トウモロコシの重要性はますます高まっている。耐倒伏性を持ちつつ多収であるほか、多発傾向にあるすす紋病抵抗性の強い品種も求められていることから、これらに優れた品種を育成する。
成果の内容・特徴
- 「だいち」は、Ho123×Ho124の単交雑一代雑種である。
- 絹糸抽出期は「おおぞら」に比べて2日早く、「36B08」より3日早い。収穫時の乾物率は「おおぞら」よりやや低く、「36B08」よりやや高い。早晩性は北海道の熟期で"中生の中"に属する(表1)。RMは93日クラスである。
- 発芽期は「おおぞら」「36B08」並で、初期生育は「おおぞら」「36B08」より優れる(表1)。
- 稈長は「おおぞら」より低く、「36B08」より高い。着雌穂高は「おおぞら」「36B08」より低い(表1)。
- 乾物収量、TDN収量は「おおぞら」「36B08」より多収である。乾雌穂重割合は「おおぞら」より低く、「36B08」並である(表1)。
- 耐倒伏性は「おおぞら」より強く、「36B08」並である(表2)。
- すす紋病抵抗性は"強"で「おおぞら」より強く、「36B08」よりやや弱い。ごま葉枯病抵抗性は「おおぞら」および「36B08」より強い(表3)。
普及のための参考情報
- 普及対象 : 酪農、畜産、畑作などの農家・法人、コントラクター等の飼料生産組織。
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等 : 北海道の道央中部、道央南部および道南の200ha。
- その他 : 2025年よりタキイ種苗から種子が販売される。
具体的データ

その他
- 予算区分 : 交付金、農林水産省(自給飼料を基盤とした国産畜産物の高付加価値化技術の開発:食用米との識別性を有する多収飼料用米、TDN収量が高い飼料作物品種の開発)
- 研究期間 : 2010~2015年度
- 研究担当者 : 佐藤尚、黄川田智洋、濃沼圭一、伊東栄作
- 発表論文等 : 佐藤ら「だいち」品種登録第28322号(2021年1月26日)