オーチャードグラスや極早生チモシーとの混播や追播に利用できるアカクローバ品種「ハルユウ」

要約

アカクローバ「ハルユウ」は早晩性が"極早生"で、出穂始が早いオーチャードグラスやチモシー極早生品種との混播や追播に利用できる。雪腐病に対する耐病性と永続性に優れ、特にオーチャードグラスとの混播収量が多い。

  • キーワード : アカクローバ、極早生、永続性、混播適性、追播
  • 担当 : 北海道農業研究センター・寒地酪農研究領域・自給飼料生産グループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 研究成果情報

背景・ねらい

アカクローバはイネ科牧草との混播で採草利用され、自給飼料生産においてタンパク質とミネラルの供給や窒素施肥量の削減に貢献する。しかし、イネ科牧草の刈取適期に合わせて1番草を収穫するため、出穂始が早いイネ科牧草との組み合わせでは飼料調製に影響を及ぼす水分含量が高い。また、イネ科牧草よりも永続性が低く、草地からの消失が早い。混播草地の利点を活用するためには、適正なマメ科率を継続的に維持することが重要である。そこで、オーチャードグラスやチモシー極早生品種との混播や既存植生との生育競合が生じる経年草地への追播に適する既存の早生品種よりも生育が早い国内で初めてのアカクローバ極早生品種を育成する。

成果の内容・特徴

  • 1番草の開花始日が早生品種「リョクユウ」より6日早く、早晩性は"極早生"である(図1、表1)。刈取時ステージ、着花茎出現頻度が「リョクユウ」より高く、乾物率が高い(表1)。
  • 越冬性と耐寒性は、「リョクユウ」と同程度である(表1)。雪腐病に対する耐病性は"やや強"で、「リョクユウ」の"中"より優れる(表1)。
  • 菌核病罹病程度は、「リョクユウ」よりやや低い(表1)。うどんこ病罹病程度は「リョクユウ」よりやや高いが、「リョクユウ」と同様に早生の普及品種である「ナツユウ」と同程度である(表1)。
  • 刈取時の着花茎出現頻度と草丈が「リョクユウ」より高いため、倒伏程度はやや高い(表1)。
  • 2年目に対する3年目の乾物収量比が「リョクユウ」より高く、永続性に優れる(表1)。
  • オーチャードグラスとの混播収量は、「リョクユウ」よりも多い(図2)。年合計収量に対するマメ科率は概ね適正範囲(30~40%)で「リョクユウ」より高く、混播適性に優れる(図2)。
  • チモシー極早生品種との混播収量は、「リョクユウ」並から多い(図2)。年合計収量に対するマメ科率は「リョクユウ」と同程度からやや高く、混播適性は概ね並である(図2)。
  • 追播後と越冬前の生育は、「リョクユウ」と同程度からやや優れる(表2)。

成果の活用面・留意点

  • オーチャードグラスやチモシー極早生品種との混播や経年草地への追播に利用できる。
  • アカクローバの優占を避けるため、夏季に干ばつの発生が多い圃場ではチモシー極早生品種との混播は控える。
  • 栽培適地は、北海道全域である。

具体的データ

その他

  • 予算区分 : 交付金、農林水産省(粗飼料多給による日本型家畜飼養技術の開発、低コスト・省力化、軽労化技術等の開発:自給飼料を基盤とした国産畜産物の高付加価値化技術の開発)、文部科学省(科研費)
  • 研究期間 : 1999~2023年度
  • 研究担当者 : 佐藤広子、奥村健治、磯部祥子、廣井清貞、我有満、眞田康治、秋山征夫、高田寛之、松村哲夫、内山和宏
  • 発表論文等 : 佐藤ら「ハルユウ」品種登録出願公表第37146号(2024年4月22日)