玄米でも食べやすくGABA含量が高い低アミロース巨大胚水稲新品種「きためぶき」

要約

「きためぶき」は、北海道での出穂期が"やや早"に属し、Wx1-1の低アミロース性遺伝子を持ち、胚芽が大きい低アミロース巨大胚水稲品種である。玄米のγ-アミノ酪酸(GABA)含量が高く、また玄米ご飯は柔らかいため、食べやすく機能性に富む玄米としての利用が期待できる。

  • キーワード : イネ、低アミロース、巨大胚、γ-アミノ酪酸(GABA)、玄米食、Wx1-1
  • 担当 : 北海道農業研究センター・寒地野菜水田作研究領域・野菜水田複合経営グループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 研究成果情報

背景・ねらい

近年、わが国の国民一人当たりの米の年間消費量が減少する一方、健康志向は高く、機能性食品への関心は高い。機能性に優れる玄米ご飯は、一般的に食感が硬く食味評価が劣る。これまでに、巨大胚品種「ゆきのめぐみ」を育成したが、食味評価が劣り、普及していない。
そこで、本研究では巨大胚品種の食味を改善するため、巨大胚の特性を持つ系統に低アミロース性遺伝子を導入し、健康機能性の高い玄米食向け品種を育成する。

成果の内容・特徴

  • 「きためぶき」は巨大胚品種「ゆきのめぐみ」と、低アミロース性遺伝子(Wx1-1)を持つ「北海324号(後の「ゆきむつみ」)」を交配した後代から選抜・育成された低アミロース巨大胚品種である(表1、表2、図1)。
  • 育成地における出穂期、成熟期は「ななつぼし」並みの"やや早"である(表1)。
  • 精玄米重は「ななつぼし」並みである(表1)。
  • 穂ばらみ期耐冷性は"やや強"で「ななつぼし」並である(表1)。
  • いもち病真性抵抗性遺伝子は、"PiaPiiPik-sPi19"と推定され、葉いもち病、穂いもち病ともに圃場抵抗性は「ななつぼし」よりも劣る"弱"である(表1)。
  • 玄米のGABA含量は「ななつぼし」よりも高い(表2)。
  • 白米のアミロース含有率は約14%と低く、玄米ご飯は柔らかく食味総合評価は「ななつぼし」並みである(表1)。
  • 千粒重は「ななつぼし」より軽く、屑米歩合はやや高い(表1)。
  • 北海道当別町のA社では「きためぶき」の玄米を用いたパックご飯を開発し、「かなう玄米」という商品名で販売している(図2)。

成果の活用面・留意点

  • A社の生産者グループを中心に、令和10年度に200haの普及が見込まれている。
  • 苗立ちが劣るため、塩水選による良質な種子の選別や、通常よりも播種量を多くすることが推奨される。
  • いもち病抵抗性は十分ではないので、適切な防除に努めるともに、倒伏を回避するためにも極端な多肥栽培を避ける。

具体的データ

その他

  • 予算区分 : 交付金
  • 研究期間 : 2015~2024年度
  • 研究担当者 : 松葉修一、梶亮太、保田浩、池ヶ谷智仁、大和浩二(国際農研)
  • 発表論文等 : 松葉ら「きためぶき」品種登録出願公表第36890号(2023年9月25日)