要約
「きよみのり」は"やや強"のジャガイモシロシストセンチュウ抵抗性を有する多収のでん粉原料用品種である。「きよみのり」の栽培により、緊急防除終了後圃場において、ジャガイモシロシストセンチュウの増殖を抑えながらばれいしょ生産を継続でき、収益性の改善に貢献できる。
- キーワード : ばれいしょ、ジャガイモシロシストセンチュウ、抵抗性、でん粉原料用
- 担当 : 北海道農業研究センター・寒地畑作研究領域・畑作物育種グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 普及成果情報
背景・ねらい
2015年に北海道オホーツク地域でジャガイモシロシストセンチュウ(Gp)が初確認されて以来、Gpの発生が確認された圃場では植物防疫法に基づく緊急防除が展開され、ばれいしょを含むナス科植物の栽培の制限や対抗植物によるGpの防除などが行われている。一方で、緊急防除終了後の圃場において、Gpの再顕在化を抑止しながらばれいしょ栽培を行ううえでは、Gpに対して相当の抵抗性を持つ品種を選択することが推奨されている。しかし、オホーツク地域の主たる品目であるでん粉原料用ばれいしょ品種について、現在普及している導入品種「フリア」はGp抵抗性を有するものの、収量性や栽培適性に課題が残るため、現地からはより優れた新たな国産品種の育成が求められている。「きよみのり」は「フリア」と同等の"やや強"のGp抵抗性を有し、でん粉原料用の基幹品種である「コナヒメ」と同等以上の収量が得られるでん粉原料用品種である。
成果の内容・特徴
- 「きよみのり」はすでに現地に普及している「G05SC266.006(のちに「フリア」として品種登録出願)」を母、でん粉重が優れる「サクラフブキ」を父として交配した集団から選抜された品種である。
- 「きよみのり」の塊茎の形は"短卵形"、皮色は"淡ベージュ"、肉色は"淡黄色"、芽の基部は"赤色"である(図1)。
- 「きよみのり」は「コナヒメ」に比べて2週間以上枯ちょう期が遅い"かなり晩生"である。「きよみのり」の育成地における10aあたりでん粉重は「コナヒメ」比108%、「フリア」比133%である(表1)。
- 「きよみのり」の網走市における10aあたりでん粉重は「コナヒメ」比132%、「フリア」比148%である。「きよみのり」の斜里町における10aあたりでん粉重は「コナヒメ」比112%、「フリア」比130%である(表1)。
- 「きよみのり」のGp抵抗性は"やや強"であり、「フリア」と同等のGp抵抗性を示す(図2)。
- Gpが高密度に存在する圃場では、「きよみのり」の栽培によってGp密度を1/4程度に低減できる(図3)。
普及のための参考情報
- 普及対象 : ばれいしょ生産者、でん粉製造事業者、普及指導機関。
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等 : Gp発生地域を中心とした260ha。
- その他 : 2028年度より一般栽培開始見込み。栽培上の留意点は疫病抵抗性が"弱"、塊茎腐敗抵抗性が"極弱"であるため、栽培期間中の防除を徹底する。小塊茎が茎から分離しにくい場合があるため、栽培翌年の野良イモ対策を徹底する。
具体的データ

その他
- 予算区分 : 交付金、農林水産省(戦略的スマート農業技術の開発・改良)、農林水産省(先導プロジェクト)
- 研究期間 : 2016~2024年度
- 研究担当者 : 赤井浩太郎、下坂悦生、浅野賢治、片山健二、田宮誠司、岡本智史、坂田至、中嶋瞳
- 発表論文等 : 片山ら「きよみのり」品種登録出願公表第37925号(2025年6月26日)