要約
「キタハレ」は、晩生で「パイカル」に比べて水溶性炭水化物含量が3.5ポイント高く、可消化養分総量含量が2.3ポイント高く、飼料品質が優れる。採草利用では「パイカル」に比べてやや多収で、すじ葉枯病に対する耐病性は優れる。
- キーワード : オーチャードグラス、晩生、水溶性炭水化物、飼料品質、すじ葉枯病
- 担当 : 北海道農業研究センター・寒地酪農研究領域・自給飼料生産グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 研究成果情報
背景・ねらい
北海道の基幹イネ科牧草であるオーチャードグラスは、耐暑性など環境ストレスに対する耐性に優れるとともに、地下茎型イネ科雑草との競合力に優れるが、飼料品質が他のイネ科牧草に比べて劣る場合がある。本研究では、オーチャードグラスの飼料品質向上を目指して、家畜の消化性およびサイレージの発酵品質と関連がある水溶性炭水化物(WSC)に着目し、オーチャードグラスの主力である晩生について高品質な品種の育成を目的とする。
成果の内容・特徴
- 「キタハレ」は、北農研(札幌)においてWSC含量の高い晩生20母系からWSC含量と収量性の高い6母系17個体を選抜し、母系選抜法により育成した品種である。
- 出穂始日は、標準品種「パイカル」と同日の5月29日で、早晩性は"晩生"である(表1)。
- 3カ年合計乾物収量は、全道平均では「パイカル」比103とやや多収である(表2)。場所別では天北が106、北農研と酪農試が105でやや多い(表2)。番草別収量では、1番草と3番草がやや多収、2番草は並である(表1)。年次別では、2および3年目ともにやや多収である(表1)。
- 越冬性と早春の草勢は、全道および道東ともに「パイカル」並である(表1)。耐寒性は、"中~やや弱"で、「パイカル」並である(表1)。
- すじ葉枯病に対する耐病性は、罹病程度が「パイカル」より低いことから、優れる(表1)。
- アカクローバおよびシロクローバ混播における乾物収量(イネ科とマメ科合計)は、やや多い(表1)。マメ科率は、いずれも「パイカル」と同程度である(表1)。以上のことから、アカクローバおよびシロクローバに対する混播適性は、優れる。
- WSC含量は、年間平均で「パイカル」より3.5ポイント高い(表3)。
- 中性デタージェント繊維(NDF)含量は、年間(全番草)平均で「パイカル」より3.2ポイント低い(表3)。推定TDN(可消化養分総量)含量は、年間(全番草)平均で「パイカル」より2.3ポイント高く、年間合計の推定TDN収量(栄養収量)は「パイカル」比108で多い(表3)。
成果の活用面・留意点
- 栽培適地は、道央・道南および道北を中心とした北海道全域である。
- 採草利用を主体にして、放牧利用および採草放牧兼用にも利用できる。土壌凍結地帯において、気象条件の厳しい年に越冬性がやや劣る場合があることから、晩夏の追肥等により越冬性を向上させることが望ましい。
具体的データ

その他
- 予算区分 : 交付金、民間資金等(資金提供型共同研究、受託試験)
- 研究期間 : 2015~2024年度
- 研究担当者 : 眞田康治、秋山征夫、佐藤広子、田村健一、安達美江子(ホクレン)、奥村正敏(ホクレン)、岩渕慶(ホクレン)
- 発表論文等 :