イチゴ生産においてミツバチによる受粉を代替する送風受粉技術

要約

風速10m/s程度、0.1秒以上の送風を1日1回以上行うことで、ミツバチによる受粉と同等の可販果率でイチゴの果実生産が可能な送風受粉技術である。これに基づき、栽培列に沿ってドローンを飛行させ、下方に発せられる気流(ダウンウォッシュ)によって受粉を行うことができる。

  • キーワード : イチゴ、送風受粉、風速、送風時間、送風頻度、ドローン
  • 担当 : 農業機械研究部門・無人化農作業研究領域・小型電動ロボット技術グループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 研究成果情報

背景・ねらい

イチゴ生産において、受粉は収穫物の可販果率に直結する重要な工程であり、ミツバチによる虫媒を利用した方法が普及している。しかし、この方法には冬季の曇天時などにミツバチの活動が低下することで一時的に可販果率が低下するという課題がある。また、将来的に花粉交配用のミツバチが供給不足となることが懸念されている。そこで、本研究では、ドローンのダウンウォッシュ(下降気流)を用いて受粉に適した送風条件を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 葯から花粉が滲出した状態の花に上方から送風を行うと、花に作用する風速に比例して柱頭への花粉付着効果が高まり、十分な風速は10m/s程度である(図1)。
  • 0.1秒以上の送風時間で十分な花粉付着効果を得ることができる。
  • 個々の花が受粉可能な数日の間、送風する頻度を1日1回以上とすることで可販果率を90%程度まで高めることができる(図2)。また1日2回以上で、可販果のうち、より整った形の割合を向上させることができる。
  • イチゴの高設栽培において、上記1.から3.の条件となるよう、ドローンのダウンウォッシュを作用させることで(図3)、ミツバチと同等の可販果率(販売可能な果数/収穫果数)が得られる(図4)。また、低温や高温、曇天などでミツバチの活動量が低下すると受粉が劣る傾向があるのに比べ、送風受粉では作期を通して安定した受粉が可能である。

成果の活用面・留意点

  • 本成果は品種「かおりの」に対する試験結果である。他品種においては適性を別途確認する必要がある。
  • 本成果では機体重1kg未満の小型のドローン(skydio社製、skydio2+)を用いて送風受粉を行った。ドローンの作物からの距離が離れたり、飛行速度が速まると作用風速が低下するため、使用する機体の特性を予め調べ、適切な風速が花に作用するように飛行する必要がある。
  • 送風によって葯から滲出した花粉はほとんど飛散するため、1日に複数回の送風を行う場合は、葯から新たに花粉が滲出するまで時間をあける必要がある。また、作物が濡れている朝方の送風は避けることが望ましい。

具体的データ

図1 風速と柱頭への花粉付着率,図2 送風頻度と可販果率,図3 ドローンによる送風受粉の様子,図4 ドローンによる送風受粉とミツバチの可販果率

その他

  • 予算区分 : 交付金、総務省(高度通信・放送研究開発委託研究)
  • 研究期間 : 2023~2025年度
  • 研究担当者 : 坪田将吾、吉永慶太、関隼人、坂田遼太、西川純、深津時広、村井恒治(徳島県農総技セ)、植松菜月(徳島県農総技セ)、栗原桜子(徳島県農総技セ)
  • 発表論文等 : 坪田ら、特願(2025年10月1日)