従来と異なる肉色を持つ紫カンショのペーストの色調とアントシアニン組成

要約

肉色の青みが強い紫カンショ品種「ちゅらかなさ」の塊根中のアントシアニンは80%以上がシアニジン型で、蒸しいもペーストは色差計のb*値が低い。一方、肉色の赤みが強い「九州206号」等のアントシアニンは80%以上がペラルゴニジン型で、ペーストはa*およびb*値が高い。

  • キーワード : 紫カンショ、ペースト、アントシアニン、シアニジン、ペラルゴニジン
  • 担当 : 九州沖縄農業研究センター・暖地畑作物野菜研究領域・カンショ・サトウキビ育種グループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 研究成果情報

背景・ねらい

「アヤムラサキ」、「ちゅら恋紅」など、従来からある紫カンショの普及品種の塊根は紫色のアントシアニン色素を豊富に含んでおり、ペーストやパウダーを含む食品加工用途に利用されている。一方、近年育成されたペースト加工用の紫肉色品種「ちゅらかなさ」は、従来の紫カンショ品種に比べると、肉色の青みが強い。さらには、赤みがかった紫肉色の品種も新たに育成されてきている。アントシアニン色素は種類が多く、その組成の違いで色調を変化させることが知られている。そこで本研究では、こうした色調の違いが何に起因するものかを明らかにするため、異なる肉色を呈する紫カンショ品種・系統について蒸しいもペーストの色差計のL*a*b*値とアントシアニンの組成の関係を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 肉色の青みが強い紫カンショ品種「ちゅらかなさ」の蒸しいもペーストは、従来からある紫カンショ品種「アヤムラサキ」および「ちゅら恋紅」よりも色差計のb*値(マイナス方向に青みの強さを示す)が有意に低い(図1)。
  • 「アヤムラサキ」および「ちゅら恋紅」の生の塊根に含まれるアントシアニンの80%以上はペオニジン型であるが、「ちゅらかなさ」に含まれるアントシアニンの80%以上はシアニジン型である(図2)。
  • 肉色の赤みが強い「九州206号」、系統A、Bの蒸しいもペーストは、a*値(プラス方向に赤みの強さを示す)、b*値が「アヤムラサキ」よりも有意に高い(図3)。
  • 「九州206号」および系統A、Bの塊根に含まれるアントシアニンの80%以上はペラルゴニジン型である(図2)。
  • アントシアニン含量が少ないと明度であるL*値が高くなり、白みがかったペーストとなる(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 蒸しいもの色調やアントシアニン組成は加工用途に応じた品種選定の際に参考情報として活用できる。
  • 本成果の蒸しイモペーストはpHを調整していない。アントシアニンはpHにより色調が変化するため、ペーストのpHに影響を与える添加物を入れる場合は色調が変化する可能性がある。

具体的データ

その他

  • 予算区分 : 交付金、農林水産省(食料安全保障強化に向けた革新的新品種開発プロジェクト)、文部科学省(科研費)
  • 研究期間 : 2020~2024年度
  • 研究担当者 : 倉田理恵、境垣内岳雄、岡田吉弘、田中 勝、甲斐由美、小林 晃、末松 恵祐、川田ゆかり
  • 発表論文等 :
    • Kurata et al. (2024) The Hort. J. 93: 153-159
    • 倉田ら(2024)日本食品科学工学会第71回大会要旨集、51