要約
環境負荷低減効果に関する情報の提供によりエコフィード牛肉の購入意欲が高まる消費者には、農産物直売所や百貨店などで牛肉を購入する層が多いという傾向がある。一方で、情報提供により購入意欲が低下する消費者も一部存在する。
- キーワード : エコフィード、牛肉、環境情報、購入意欲、消費者評価
- 担当 : 九州沖縄農業研究センター・暖地畜産研究領域・飼料生産グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 研究成果情報
背景・ねらい
農業分野における温室効果ガス排出は、畜産部門、特に牛肉生産が大きな割合を占める。牛肉生産におけるエコフィード(食品副産物等を活用した家畜飼料)の利用は環境負荷低減に寄与する可能性があるが、エコフィード牛肉の普及には消費者の受容性向上が不可欠である。そこで、Webアンケートとコンジョイント分析(Conjoint Analysis)により、エコフィードの環境負荷低減効果に関する科学的情報を消費者に与えた際に受容性がどう変化するかを解明する。
成果の内容・特徴
- 調査の手順は図1に示すとおりである。エコフィードの利用により温室効果ガス排出量が低減するという科学的情報([3];以下、情報)を提供すると、牛へのエコフィード利用に賛同する消費者の割合は12.5ポイント(52人)増加する(図2)。
- 情報提供後にエコフィード牛肉への購入意欲が向上した消費者(以下、意欲向上グループ)は17.6%(73人)である。一方、購入意欲が低下した消費者(意欲低下グループ)は17.8%(74人)、購入意欲が変化しなかった消費者(変化なしグループ)は64.6%(268人)である(表1)。
- 意欲向上グループに属する消費者は、情報提供前は非エコフィード牛肉を選ぶ弱い傾向があるが、情報提供によりエコフィード牛肉への購入意欲が高まり、エコフィードの利用が他の条件と比較して最も重視されるようになる(図3)。一方、意欲低下グループは情報提供前にはエコフィード牛肉を選択する傾向にあるが、情報提供により、エコフィードの利用がほとんど重視されないようになり、国産飼料を利用していることが最も重視されるようになる。
- 意欲向上グループには、農産物直売所、百貨店、ふるさと納税で牛肉を購入する人が多いという特徴がある(表1)。意欲低下グループには、情報提供前からエコフィードについて知っていた人が比較的多い。
成果の活用面・留意点
- 生産者、生産者を支援する行政機関・生産者団体が、特定の消費者層を対象としたエコフィード牛肉の販売拡大戦略を策定する際に活用できる。
- 情報提供後にエコフィード牛肉の購入意欲が低下した人が一定数いることを踏まえると、提供した文章がやや大げさに感じられ、不信感につながった可能性も否定できない。情報提供の仕方によっては逆効果となる場合もあるため、表現方法や伝え方については慎重な検討が必要である。
- 年齢・性別や環境意識にグループ間で有意な差はなく(表1)、これらのみによって市場を分けることは難しい。
具体的データ

その他
- 予算区分 : 交付金
- 研究期間 : 2024~2025年度
- 研究担当者 : 服部明彦、大西千絵、堤道生
- 発表論文等 : 服部ら(2026)農業経済研究、97:337-342