要約
イチゴの花などの農作物をAI画像処理で生育調査・解析するため、自動でアノテーションできるプログラムである。手動でのアノテーションに比べて作業時間を約1/5に短縮することが可能で、農作物のように複雑な形状の対象を大量にアノテーションする場合に有効である。
- キーワード : AI、画像処理、自動、アノテーション、Yolo, Mask R-CNN
- 担当 : 基盤技術研究本部・農業ロボティクス研究センター・施設ロボティクスユニット
- 代表連絡先 :
- 分類 : 研究成果情報
背景・ねらい
イチゴの開花・果実、キュウリの葉など農作物を対象としてAIによる画像処理を行うためには前処理として、約1万以上の大量のアノテーションを行う必要がある。手作業のアノテーションは、細かい作業を繰り返す、単調で精神的負荷の高い作業である。また、非熟練者がアノテーションを行う場合、時間を要する。そこで、農作物のアノテーションを効率化可能なプログラムを開発する。
成果の内容・特徴
- アノテーションプログラムはアノテーション実行プログラム、設定プログラム(Excel)、可視化ツールから構成される(図1)。
- アノテーション方法は次の通りである(図1)。①設定ファイルでAIの種類、入出力画像・データファイル名を設定する。②少数(100程度)の対象物アノテーションを行い、1次検出AIを作成する。③1次検出AIにより、多数(10000以上)の検出を行い、検出データをアノテーションデータに利用する。④目標検出精度であれば最終AIを作成する。
- 処理②において検出部分が正解かどうかは目視で確認し(図2)、検出部分が正解である場合、検出部分をアノテーションデータに利用し、正解でなければ修正して再度アノテーションデータとして利用するか、修正をせず、利用しない。
- 1次検出AIで検出精度が目標に達しない場合、追加で画像データを自動アノテーションすることで、2次検出AIの作成が可能であり、精度を確認しながら繰り返しAIを作成できる。
- 処理①の手動のアノテーションではバウンディングボックスとポリゴンが可能である。
- 処理①、②において作成可能なAIはバウンディングボックス利用ではYOLO、Faster-RCNN、ポリゴン利用ではMask-RCNNである。
- アノテーション能率・検出精度は、イチゴの花約10000個のアノテーション時間が17時間から3時間の約1/5に短縮可能であり、検出精度は熟練者が行った場合と同様の95% である(使用パソコンCPU Intel(R) Xeon(R) W-2102:2.90GHz, RAM:16 GB)。
成果の活用面・留意点
- 画像処理が可能な全国の研究機関、普及機関等で試験的に利用可能である。
- その他:
- ①職務作成プログラムとして登録されており、普及のためには農研機構との契約が必要であり、契約条件に沿って使用する必要がある。
- ②事前にインストールが必要なソフトウェア: なし、対応OS:Windows7以降
- ③実行ファイル形式(EXE)であるので、ファイルの実行操作のみで、インストール作業をすることなく、すぐ使える。
具体的データ
その他
- 予算区分 : 交付金
- 研究期間 : 2021~2022年度
- 研究担当者 : リ ウンソク、内藤裕貴、河崎靖、太田智彦、高橋正明
- 発表論文等 : リ ウンソク(2022)、職務作成プログラム「AI基盤イチゴ花・果実自動アノテーションプログラム」、機構-ZG1