要約
大豆蛋白質と卵白を主原料にイーストやグルテンなどの添加物を要せず、内相に小麦粉パンのような気泡構造をもつパン様加工物の製造法である。本加工物の比容積は5 mL/g以上、蛋白質と炭水化物の含量はそれぞれ42-49 %(w/w)、1-11 %(w/w)である。高蛋白質・低糖質食品として本加工物をそのまま利用できる。
- キーワード : 大豆蛋白質、卵白、高蛋白質、低糖質、パン様加工物
- 担当 : 食品研究部門・食品加工・素材研究領域・食品加工グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 研究成果情報
背景・ねらい
中高年層の健康維持に蛋白質摂取の重要性が指摘されている。また、糖尿病など生活習慣病の対策として食事の糖質制限が重要視される。そこで本研究では大豆蛋白質と卵白を主原料に蛋白質の架橋構造が気泡を閉じ込めて膨らむパン様加工物を開発し、簡便に摂取できる高蛋白質・低糖質食品としての利用を図る。
成果の内容・特徴
- 大豆蛋白質と卵白をミキサーで攪拌して生地を作製し、これを家庭用オーブンで焼成すると内相に気泡構造をもつパン様加工物が生成し(図1)、膨らみの指標となる比容積は5 mL/g以上である(図2)。
- この加工物の蛋白質と炭水化物の含量はそれぞれ42-49 %(w/w)、1-11 %(w/w)であり、一般的な小麦粉パン、米粉パンと比較して高蛋白質・低糖質である(表1)。
- 大豆蛋白質と卵白蛋白質の反応物が気泡を閉じ込め、発酵過程を要せずパン様加工物が膨らむと推定される(図3)。生成した加工物はパンのように柔らかい。
成果の活用面・留意点
- 簡便に製造できる高蛋白質・低糖質食品素材として活用が期待される。
- パン様加工物の膨らみについてややばらつきが大きいなど実用化に向けた課題がある。
具体的データ

その他
- 予算区分 : 交付金
- 研究期間 : 2020~2022年度
- 研究担当者 : 矢野裕之、付惟
- 発表論文等 :
- Yano H and Fu W. (2022) Foods 11:e1185
- 矢野裕之 (2021) 農研機構研究報告 9:45-49