要約
我が国で初めてバイオ炭の農業利用を体系的に説明した一般向け書籍である。バイオ炭の製造と特徴から、農地と作物への施用、温室効果ガス削減効果とJ-クレジット認証、さらに全国各地の地域利用モデルまで幅広く解説しており、バイオ炭の利用拡大と脱炭素社会の確立に活用できる。
- キーワード : バイオ炭、炭化、温室効果ガス、J-クレジット、地域利用モデル
- 担当 : 農業環境研究部門・気候変動緩和策研究領域・緩和技術体系化グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 普及成果情報
背景・ねらい
近年、温暖化対策としてバイオ炭の農地施用が世界的に注目され、我が国でも施用の取組が始まっている。この取組の拡大のためには、バイオマス原料や炭化技術から、バイオ炭の特徴、農地や作物への施用効果、温室効果ガス削減量の算出、J-クレジット認証、生産物の販売まで幅広い情報が必要であり、それらを説明した書籍が求められる。そこで農研機構を含む「脱炭素に向けた農林業環境研究コンソーシアム」が最新の知見を解りやすく体系的にまとめて、「バイオ炭の農業利用事例とその活用ガイドブック」として公開する。
成果の内容・特徴
- 本ガイドブックは、我が国で初めてバイオ炭の農業利用を体系的に説明した一般向け書籍である(図1、2)。写真や図表を豊富に用いているため、視覚的に理解しやすく、またweb上で公開されているため、誰でも自由に閲覧・利用できる。
- バイオ炭の製造者にとってバイオマス原料と炭化設備の選び方は課題であることから、第1章では、各種の原料と設備を紹介する。特に設備に関して、農業生産者向けの小型炭化器から、事業者向けの炭窯、平炉、発電可能なガス化炉まで、計8種類の構造、利用法、及び経済性を丁寧に説明する。
- 第2章では、バイオ炭の利用者にとって重要な農地や作物への施用効果を、日本各地で実施した計11の事例を通じて紹介する。施用効果として、もみ殻炭による育苗箱の軽量化(図3)やサトイモ収量の増加、鶏ふん炭による農地のリン酸肥沃度の向上等がある。
- J-クレジットを申請するバイオ炭の利用者のために、第3章では、同クレジットの概念から温室効果ガス削減量の算出法、申請・認証・活用まで、必要な情報と作業手順を説明する。特に、複数の利用者をまとめて作業を効率化するプログラム型の申請を丁寧に説明する(図4)。
- 第4章では、バイオ炭の農業利用にとって不可欠な地域の集団的取組や生産物の販売戦略を、全国計9つの地域利用モデルを通じて紹介する。
普及のための参考情報
具体的データ

その他
- 予算区分 : 農林水産省(農林水産研究推進事業 : 農地土壌の炭素貯留能力を向上させるバイオ炭資材等の開発)
- 研究期間 : 2020~2024年度
- 研究担当者 : 小林創平、岸本文紅、亀山幸司、久保田幸、徳田進一、渕山律子、望月秀俊、山根剛、黒田真奈美(福井県総合GC)、藤田義憲(福井県総合GC)、駒野雅保(福井県)、三崎信一(福井県)、西端善丸(福井県農試)、福島朋行(福井県農試)、𠮷川侑沙(福井県農試)、柴田晃(立命館大)、沖森泰行(立命館大)、小澤史弘(立命館大)、髙橋幸秀(立命館大)、土井美奈子(立命館大)、中野勝行(立命館大)、深尾陽一朗(立命館大)、依田祐一(立命館大)、栗本康司(秋田県立大)、伊藤豊(島根県立大)、藤原風輝(東大)、藤原保之(宮崎みどり製薬)、竹下光雄(長大)、梅澤美明(日本バイオ炭普及会)、春日隆司(森林未来研)
- 発表論文等 :