要約
2022年シーズンの高病原性鳥インフルエンザの国内家きん分離株は、ヘマグルチニン遺伝子による分類で3グループに分けられ、さらに各遺伝子分節の組み合わせにより17遺伝子型に分類される。
- キーワード : 高病原性鳥インフルエンザウイルス、2022年シーズン、系統解析、H5亜型
- 担当 : 動物衛生研究部門・人獣共通感染症研究領域・新興ウイルスグループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 研究成果情報
背景・ねらい
高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)は、家きん産業に甚大な経済的損失を与える重大な感染症である。2022年シーズン(2022年秋から2023年春まで)には、国内家きん農場で26道県84事例のHPAIの発生が報告され、野鳥や環境検体からは28道府県242事例が確認されている。
本研究では、発生株の遺伝的な由来を明らかにするため、国内の農場で分離されたHPAIVの全ゲノム配列を決定し、公共データベースに登録されている遺伝子配列と共に系統解析を行う。
成果の内容・特徴
- ヘマグルチニン(HA)遺伝子の系統解析により、全84事例のHPAIVは、H5亜型の中のG2グループに属し、さらに3つのグループG2b、G2d、G2cに細分類される。G2b、G2d、G2cの発生事例数は、それぞれ17、10、57例でありG2cは全国的に分離されている(図1)。
- G2bとG2dは、2021年シーズンにも国内で確認されているグループである。G2cは2022年シーズンに国内で初めて確認されたグループで、2021年シーズンに近隣諸国で分離された株と同じグループである。
- ウイルスが保有する8本の遺伝子分節の組み合わせにより、2022年シーズン発生株は、計17遺伝子型に分類される(図2)。多くの遺伝子型は、一部の遺伝子分節が野鳥由来鳥インフルエンザウイルスの分節に置き換わっている。2022年シーズンのHPAIVの遺伝子型数は、過去最多である。
成果の活用面・留意点
- HPAIV株の遺伝子配列情報は、現行診断法に用いるプライマーの有効性の検証に活用される。
- 2022年シーズンの全84事例のHPAIVを用いた系統解析により、HPAIVの国内侵入経路の推定に活用することができる。
具体的データ

その他
- 予算区分 : 農林水産省(包括的レギュラトリーサイエンス研究推進委託事業:動物衛生対応プロジェクトのうち、新たな感染症の出現に対してレジリエントな畜産業を実現するための家畜感染症対策技術の開発)
- 研究期間 : 2023~2024年度
- 研究担当者 : 高舘佳弘、峯淳貴、常國良太、佐久間咲希、熊谷飛鳥、西浦颯、宮澤光太郎、内田裕子
- 発表論文等 :