乳汁中レンサ球菌の迅速検出を可能にするイムノクロマト検査キット

要約

酪農産業で大きな経済損失を招く乳房炎の適切な処置には、原因となる病原体の検出が必要不可欠である。本研究に用いたイムノクロマト検査キットは、特別な機器を必要とせず簡単な操作で短時間に乳汁中のレンサ球菌の有無を確認できる。

  • キーワード : イムノクロマト法、レンサ球菌、乳房炎、抗原検出、簡易検査法
  • 担当 : 動物衛生研究部門・衛生管理研究領域・病理・生産病グループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 研究成果情報

背景・ねらい

牛乳房炎の原因菌の同定は一般に細菌培養法で行われているが、検査結果の判定に日数を要するため、症状が悪化する場合がある。また、同定の精度は従事者の熟練度に依存する。そのため、酪農現場で実施可能な迅速で簡便な乳房炎原因菌の同定技術の開発が求められている。
本研究では、乳房炎の主要な原因菌であるレンサ球菌を迅速かつ簡易に検出可能なイムノクロマト検査キットを用いて、検査キットの乳汁中レンサ球菌の検出能力を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 本研究に用いたイムノクロマト検査キットは60分間で乳汁中のレンサ球菌の有無を確認できる(図1)。
  • 本研究の検査キットは乳汁中レンサ球菌のみに反応し、他の乳房炎原因菌である黄色ブドウ球菌や大腸菌には反応しない(図2)。
  • 酪農現場から採材した120サンプルの牛乳房炎乳汁を用いた試験において、細菌培養法と比較して感度80%、特異度87.5%が得られ、本研究に用いたイムノクロマト検査キットは簡易検査法として十分な性能を有している(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 本研究に用いたイムノクロマト検査キットは、従来の細菌培養法と比べて、乳房炎の乳汁から迅速かつ簡便にレンサ球菌の有無が検出可能である。この検査キットの活用により、獣医師の治療方針の選択や酪農家の衛生管理対策の一助となる。
  • 本研究に用いたイムノクロマト検査キットは乳汁中のレンサ球菌の検出に適用できる可能性が高いが、死菌体の抗原とも交差するため留意して結果を判断する必要がある。
  • 本研究に用いたイムノクロマト検査キットは前処理と検出の2工程の作業を要する。そのため、酪農現場での使用には手間取り、人為的ミスが生じる可能性があることに留意する必要がある。

具体的データ

その他

  • 予算区分 : 民間資金等(受託研究)
  • 研究期間 : 2020~2024年度
  • 研究担当者 : 津上優作、長澤裕哉、杉山碧、林智人、安藤優(旭化成(株))、小田光太郎(旭化成(株))、前花浩志(旭化成(株))、大林哲(NOSAI北海道)
  • 発表論文等 : Tsugami Y. et al. (2024) J Vet Med Sci. 86:474-479