要約
アミノ酸の一種で環境負荷が少ないグルタミン酸を用いて、微生物農薬の有効成分であるシュードモナス属細菌の定着能を高める技術である。本成果は化学農薬の使用量低減に貢献する。
- キーワード : 微生物農薬、グルタミン酸、ピシウム病、植物保護
- 担当 : 生物機能利用研究部門・作物生長機構研究領域・作物病害制御機構グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 研究成果情報
背景・ねらい
農作物の病害は主にカビ等の病原微生物を原因として引き起こされ、その収量に大きな影響を及ぼす。特に土壌中に蔓延する土壌病害は防除が困難であり、その防除には主に化学農薬が使用されているが、継続的な化学農薬の使用は環境負荷が大きく、薬剤耐性菌の出現を招くなど課題がある。化学農薬に替わるものとして自然環境から見つかった微生物を活用した防除技術が注目されているが、化学農薬と比較して効果が弱く、また高コストであるなど課題がある。
そこで本研究では、持続可能な営農の実現に向けて、地上部病害の微生物農薬マスタピース®水和剤の有効成分であるシュードモナス属細菌(Pseudomonas rhodesiae HAI-0804)を用い、その機能を高めるための化合物として環境負荷の低いアミノ酸に着目し、HAI-0804株と共に土壌に添加した際の病害防除効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
- キュウリ幼苗と重要土壌病害菌の一つであるピシウム病菌(Pythium ultimum)を用い、播種後2週間栽培し試験を行うと無添加区ではキュウリの生育が顕著に悪化するが、播種時にHAI-0804株を添加すると生育状況が回復する(表1)。
- グルタミン酸をHAI-0804株と併用して病害抑制効果の変化を調べると効果が認められ、加えていない場合と比較して生残率が増加する(表1)。
- 根の表面に定着するHAI-0804株の菌の状態を調べると、栽培後1ヶ月後も定着が保たれており、グルタミン酸を添加するとHAI-0804株の定着能が高まる(図1)。
成果の活用面・留意点
- グルタミン酸はHAI-0804株の定着能を高める化合物として利用できる。
- 効率的な防除のためには栽培初期の段階で添加する必要がある。
具体的データ

その他
- 予算区分 : 交付金、民間資金等(資金提供型共同研究)
- 研究期間 : 2021~2024年度
- 研究担当者 : 竹内香純、小木曽真佐代、太田愛理沙、瀬尾茂美、西村健太郎(日本曹達株式会社)、西野千尋(日本曹達株式会社)、大森康弘(日本曹達株式会社)、水井良典(日本曹達株式会社)、山中誉(日本曹達株式会社)、荻野智和(日本曹達株式会社)、前田光紀(株式会社ニッソーフィールドサービス)
- 発表論文等 : Takeuchi K. et al. (2024) Frontiers in Microbiology 15:1485167 doi:10.3389/fmicb.2024.1485167