要約
クリックケミストリーによる簡単な化学修飾が可能なクリッカブルシルクの薬剤キャリア素材としての応用可能性を評価する。光開裂リンカーを介して薬剤をクリッカブルシルクへ結合させることにより、光照射時間に応じて薬剤を放出するキャリア素材として利用可能であることを示す。
- キーワード : 化学修飾、クリックケミストリー、薬剤キャリア、フィブロイン、人工アミノ酸
- 担当 : 生物機能利用研究部門・絹糸昆虫高度利用研究領域・新素材開発グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 研究成果情報
背景・ねらい
シルクフィブロインは生体適合性や機械的強度に優れ、様々な形状に加工できることから、薬物キャリア素材として注目されている。本研究では、外部刺激によるオンデマンドな薬剤放出システムの構築を目的とし、アジド基があらかじめ導入されているクリッカブルシルクを用い、クリックケミストリーによる高効率な薬剤担持とその放出制御を実現する。これにより、薬剤キャリア素材としてのクリッカブルシルクの有効性を明らかにする。
成果の内容・特徴
- アジド基があらかじめ導入されたクリッカブルシルクを用いることで、クリックケミストリーによる簡単かつ確実な薬剤担持が可能である(図1)。
- UV感受性リンカーを介して薬剤を担持することにより、外部刺激(UV光)による薬剤のオンデマンド放出が可能である(図2)。
- UV感受性リンカーを介して抗生物質カナマイシンを担持したシルク織物は、UV照射後でのみ抗菌活性が発現する(図3)。
- リンカー設計の工夫により、光以外の多様な外部刺激にも対応可能な薬剤キャリアへの展開が期待できる。
成果の活用面・留意点
- 外部刺激(光など)による薬剤放出が可能なため、医療現場でのオンデマンドな治療や局所的な薬物投与に応用できる。
- リンカー設計を工夫することで、さまざまな薬剤や刺激条件に合わせたカスタマイズが可能である。
- シルクフィブロインの生体適合性や生分解性を活かせる一方で、医学応用に向けては薬剤の安定性や安全性、刺激条件の最適化など追加検討が必要である。
具体的データ

その他
- 予算区分 : 交付金
- 研究期間 : 2022~2024年度
- 研究担当者 : 田雅茜、寺本英敏
- 発表論文等 : Tian Y. and Teramoto H. (2025) ACS Biomater. Sci. Eng. 11:2783-2791