ダイズ黒根腐病圃場検定のための新規発病評価法

要約

ダイズ黒根腐病菌が感染したダイズ根では、黒根腐病菌は表皮周辺に多く蓄積し、感染部位は赤褐色に着色する。これを利用し、ピーラー等で剥皮した根の表皮内側の着色面積率を目視することで、発病程度を評価する手法である。

  • キーワード : ダイズ黒根腐病、発病評価法、圃場検定法、着色面積率、ピーラー剥皮
  • 担当 : 生物機能利用研究部門・作物生長機構研究領域・作物病害制御機構グループ
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 研究成果情報

背景・ねらい

ダイズ黒根腐病は、土壌糸状菌Calonectria ilicicolaにより引き起こされる立枯性病害で、重症化により最大で30%程度減収や小粒化等の品質低下を招く。圃場での黒根腐病発生調査や防除法の評価、耐性品種の育成において発病評価法は重要であるが、従来の側根の離脱・根表面の着色を指標とした達観評価法は、評価者によりばらつきがあるほか、黒根腐病以外の要因との判別が難しいため、より簡便で正確な評価法の開発が求められている。
本研究では、ピーラー剥皮したダイズ主根の表皮内側の着色面積と黒根腐病菌の菌体量を調査し、着色面積率が菌の感染程度を反映した評価値として利用できるかを明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 圃場から掘り上げたダイズ主根の表皮をピーラーで剥皮(地際部から約6cmの長さ)し、剥皮した表皮内側の着色面積を測定する(図1)。黒根腐病菌の菌体量は、剥皮した表皮から抽出したDNAを用い、黒根腐病菌のDNA量をリアルタイムPCRで定量することにより調査する。
  • 着色面積率と黒根腐病菌の菌体量は高い相関を示すことから、着色面積率は菌の感染程度を反映した評価値として利用できる(図2)。
  • 黒根腐病に対する罹病性が異なる4品種(エンレイ、おおすず、リュウホウ、里のほほえみ)では、いずれの品種でも着色面積率と黒根腐病菌の菌体量は高い相関を示す(図3)。したがって、本評価法はダイズの品種によらず広く利用できる。
  • 従来法である達観評価法では同じ評価値であっても黒根腐病菌の菌体量にばらつきが大きい。一方で、着色面積率で分類した場合には黒根腐病菌の菌体量にばらつきが小さく、より正確に評価できている(図4)。

成果の活用面・留意点

  • 本研究の知見は、品種によらずダイズ黒根腐病の感染程度を評価できるため、圃場での黒根腐病発生調査や防除法の評価、黒根腐病耐性品種の開発に活用できる。
  • 検出感度が高いため、感染のごく初期であっても感染の有無を検出することができる。
  • 黒根腐病菌による着色は表皮に多く見られるため、ピーラー等で薄く剥皮し表皮の内側を観察することで、より正確に評価できる。
  • 実際の圃場で行う場合には、側根が残った状態でピーラー剥皮して評価することも可能である。

具体的データ

図1 ダイズ根の剥皮方法,図2 各着色面積率における黒根腐病菌の菌体量,図3 異なる4品種における着色面積率と黒根腐病菌菌体量との相関,図4 従来法と新規評価法との比較

その他

  • 予算区分 : 農林水産省(イノベーション創出強化研究推進事業)
  • 研究期間 : 2022~2024年度
  • 研究担当者 : 小林光智衣、南條洋平、菱沼亜衣、三室元気(富山県)
  • 発表論文等 : 小林ら(2025)日本植物病理学会報、91:66-70