要約
登熟期後半に高温になると大豆の青立ちの発生が増加する。地球温暖化による登熟期後半の高温が青立ち発生増加の一因となっている可能性がある。
- キーワード : ダイズ、青立ち、気温、地球温暖化
- 担当 : 作物研究部門・畑作物先端育種研究領域・畑作物先端育種グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 研究成果情報
背景・ねらい
大豆の青立ちは、収穫期になって莢が成熟しても茎や葉の成熟が遅れてしまい緑色のままになる現象で、収穫作業の効率と子実品質を低下させる。近年青立ち発生が増加傾向にあり、温暖化の影響である可能性が指摘されているが、気温が青立ちに及ぼす影響を明確に示すデータはない。そこで、本研究では、登熟期の気温がどのように青立ちに影響を及ぼすかを明らかにする。
成果の内容・特徴
- 人工気象器において、登熟期後半(子実肥大始期の28日後から収穫期まで)に高温(昼30°C・夜25°C)になると青立ちの発生が増加する。(表1、図1)。
- 圃場においても、早晩性や播種期が異なる複数の試験区を比較すると、登熟期後半の気温が高いほど青立ちが増加する傾向が認められる(図2)。
- 地球温暖化による登熟期後半の気温上昇が青立ちの発生増加の一因となっている可能性がある。
成果の活用面・留意点
- 本研究は、今後の地球温暖化の進行に対応して、秋の高温を回避することで青立ちの発生を減少させるために、どのような品種と作期で大豆栽培をすべきかを決めるために役立つ知見である。
- 今回の研究は「サチユタカ」と「エンレイ」背景の早晩性の異なる準同質遺伝子系統における解析結果であり、その他の大豆品種において気温が青立ちに及ぼす影響を明らかにするには、さらなる研究が必要である。
具体的データ

その他
- 予算区分 : 交付金、環境省(環境研究総合推進費)
- 研究期間 : 2017~2020年度
- 研究担当者 : 山崎諒、川崎洋平
- 発表論文等 : Yamazaki R and Kawasaki Y. (2023) Field Crops Res. 302:109092
doi.org/10.1016/j.fcr.2023.109092