要約
大豆新品種「とむたん」は、子実の外観品質に優れた中粒品種であり、難裂莢性を備え、ダイズモザイクウイルスAおよびB系統に抵抗性を示す。タンパク質含有率が非常に高い(50%前後)ことから、醤油などへの加工利用も期待される。
- キーワード : ダイズ、タンパク質含有率、難裂莢性、外観品質
- 担当 : 作物研究部門・畑作物先端育種研究領域・畑作物先端育種グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 研究成果情報
背景・ねらい
近年の健康志向や植物性タンパク質源の需要増、加工技術の向上により、大豆加工食品を製造する実需者は付加価値の高い大豆原料を求めている。大豆は作物の中でもタンパク質含有率が40~45%と高いが、「とむたん」は50%前後とタンパク質含有率が非常に高い品種である。
成果の内容・特徴
- 「とむたん」は、タンパク質含有率が高い「刈系423号」と「サチユタカ」との交配に由来する後代系統を花粉親、「サチユタカ」に難裂莢性およびダイズモザイクウイルスC、D系統抵抗性を導入した「作系98号」を2回種子親として交雑して育成した品種である(表1)。
- タンパク質含有率は「サチユタカA1号」より5%程度高く、標準播種(6月播種)および晩期播種(7月播種)ともに49.5%である(表1)。
- 育成地(茨城県つくば市)での成熟期は"やや晩"に分類され、「サチユタカA1号」とほぼ同じである(表1)。茎の長さは「サチユタカA1号」とほぼ同じで(表1、図1)、倒伏程度は「サチユタカA1号」よりやや高い"微"である(表1)。子実重は「サチユタカA1号」より1~2割程度低い(表1)。百粒重は「サチユタカA1号」より軽いが、裂皮が少なく子実の品質が1ランク高い(表1、図1)。
- 「サチユタカA1号」と同様に、裂莢性は"難"、ダイズモザイクウイルスAおよびB系統に"抵抗性"である。
- 栽培適地は北陸地域および関東以西の温暖地である(表1)。
- 加工適性に大豆原料のタンパク質が高含有であることが求められる醤油の試作試験では、生揚 (きあげ)醤油にとって重要な遊離グルタミン酸の含有率が高いという評価が得られている(表2)。
※生揚醤油とは火入れ前の醤油のこと。醤油は諸味を圧搾後、火入れ後に製品となる。
成果の活用面・留意点
- 「とむたん」はタンパク質含有率が極めて高いが、収量は低い傾向にある。
- 栽培上の留意点として、ダイズモザイクウイルスA2、C、DおよびE系統に感受性のため、健全種子を使用するとともにウイルス病を媒介するアブラムシの防除に努める。ダイズシストセンチュウに感受性であるため、被害履歴のあるほ場での作付けを避ける。また、立枯性病害の蔓延を防ぐため、適切な輪作および排水対策を励行する。
- 「とむたん」は実需者による豆腐の試作試験では"適"の評価が得られている。
具体的データ

その他
- 予算区分 : 交付金
- 研究期間 : 2011~2022年度
- 研究担当者 : 青木恵美子、南條洋平、猿田正恭、加藤信、山崎諒、髙橋浩司、山田哲也、高橋幹、湯本節三、菱沼亜衣、羽鹿牧太、平田香里、山田直弘
- 発表論文等 : 青木ら「とむたん」品種登録出願公表第36805号(2023年8月10日)