要約
圃場においてムギ類の穂を群落上部から撮影した画像を用いて、AI処理により穂数を調査する技術である。開発したアプリケーションを用いることで、ムギ類育種における穂数調査の省力化・高速化に貢献できる。
- キーワード : 深層学習、形質評価、リアルタイム、画像情報、アプリケーション
- 担当 : 作物研究部門・スマート育種基盤研究領域・育種ビッグデータ整備利用グループ
- 代表連絡先 :
- 分類 : 研究成果情報
背景・ねらい
ムギ類育種において、生産力検定試験等では収量性の評価項目の一つとして単位面積当たりの穂数の調査が行われている。しかし、穂数は手作業で調査されているため、多数の試験区の調査に多大な時間と労力を要している。このため、省力かつ高速に穂数を調査することができる技術が求められている。そこで本研究では、圃場で撮影した画像から、AIにより穂数を調査する技術を開発する。
成果の内容・特徴
- 圃場においてコムギあるいはオオムギの穂を群落上部から撮影した画像を用いて、AI処理により穂を検出し、穂数を調査する技術である(図1)。このAIは麦種、穂型、芒の有無あるいは熟期によらず穂を検出できる。
- 被写体の真上から高さを揃えて撮影することで単位面積当たりの穂数を調査することが可能であり、従来の手作業による方法に比べて調査時間を約1/30に短縮できる。
- 画像による穂数の調査結果と作物研のムギ類生産力検定試験区における単位面積当たりの穂数の調査結果との相関係数はオオムギが0.587、コムギが0.382である(図2)。
- スマートフォンやタブレットで利用可能なアプリケーションとなっており、iOS 17.0/iPadOS 17.0以上のOSを搭載したApple製品デバイスで利用可能である。
- 本アプリケーションは圃場などネットワークが整備されていない環境でも利用可能である。
成果の活用面・留意点
- 成熟期に穂が横になりやすいコムギや二条オオムギでは、穂の重なりによって検出感度が低下する可能性があることから、そのような場合にはAIモデルやアプリケーションを改良する必要がある。
- 本アプリケーションに新たな画像処理AIを搭載することによって、他の作物や形質の調査にも利用可能である。
具体的データ

その他
- 予算区分 : 交付金、農林水産省(農林水産研究の推進:みどりの品種開発加速化プロジェクト、戦略的プロジェクト研究推進事業:育種ビッグデータの整備および情報解析技術を活用した高度育種システムの開発)
- 研究期間 : 2018~2024年度
- 研究担当者 : 中村春貴、石川吾郎、米丸淳一、郭威(東京大)、山田哲也、藤郷誠、髙橋飛鳥、八田浩一、小島久代、岡田岳之
- 発表論文等 :
- 中村ら(2024)育種学研究、26:5-16
- 中村(2024)職務作成プログラム「深層学習ベースのリアルタイム形質評価iOSアプリケーション」、機構-C06