ダイズ葉焼病抵抗性遺伝子を特定

要約

北米でダイズ品種の育成に利用されてきたダイズ葉焼病抵抗性遺伝子rxpを特定し、この遺伝子を持つダイズを効率的に選抜するDNAマーカーを開発する。開発したDNAマーカーを用いて、葉焼病抵抗性品種を育成できる。

  • キーワード : ダイズ葉焼病抵抗性、ダイズ、DNAマーカー、育種選抜、rxp
  • 担当 : 作物研究部門・作物デザイン研究領域
  • 代表連絡先 :
  • 分類 : 研究成果情報

背景・ねらい

ダイズ葉焼病は温暖湿潤な気候で多発することから、温暖化の進行に伴い、日本でも発生地域が広がり、発生程度の激甚化が懸念される状況となっている。しかし、日本ではこれまで葉焼病抵抗性に着目した育種が行われてこなかったことから、日本品種の多くは葉焼病抵抗性遺伝子を持っていない。そこで本研究では、葉焼病に対して安定した抵抗性を持つ日本品種を育成するため、北米等で利用されているダイズ葉焼病抵抗性遺伝子rxpの責任遺伝子を特定し、抵抗性を導入するためのDNAマーカーを開発する。

成果の内容・特徴

  • ダイズ葉焼病抵抗性遺伝子rxpは、罹病性の野生型遺伝子に1塩基が挿入されており、不完全なタンパク質をコードしている(図1)。ポジショナルクローニングと相補性検定、それらに加えて農業生物資源ジーンバンクのダイズコアコレクションや突然変異系統集団を用いた解析で、罹病性の野生型遺伝子Rxpは遺伝子機能を失うことで抵抗性となる。
  • 現在利用されているダイズ葉焼病抵抗性遺伝子rxpの有無を検出するDNAマーカーによって、抵抗性を持つダイズ個体を種子あるいは幼植物の段階で、接種試験無しで選抜することができる(図2)。この遺伝子は潜性(劣性)であるためヘテロ型個体は抵抗性を持たないが、DNAマーカーを用いればヘテロ型個体でも選抜できる。
  • ダイズ葉焼病抵抗性遺伝子rxpのゲノム上の座乗位置が明らかになったことから、SSR(Simple Sequence Repeat、またはマイクロサテライト)マーカーなど手持ちの解析機器で検出しやすいDNAマーカーを作成することが可能である(図3)。

成果の活用面・留意点

  • rxpは圃場抵抗性遺伝子であると考えられ、北米では過去約70年間にわたって抵抗性の崩壊は見られない。
  • ダイズ葉焼病抵抗性遺伝子rxpは病気の感染を完全に防ぐものではなく、感染した病気の進展を抑えるように働く遺伝子であることから、細菌病に対する適期防除は行う。

具体的データ

その他

  • 予算区分 : 農林水産省(農林水産分野における気候変動対応のための研究開発:農林水産分野における気候変動の影響評価及び適応技術の開発)、SIP
  • 研究期間 : 2011~2024年度
  • 研究担当者 : 田口文緒、髙橋浩司、矢野亮一、鈴木倫太郎、横田侑子、山崎俊正、山田哲也、佐山貴司、山田直弘、大木信彦、穴井豊昭(佐賀大)、加賀秋人、石本政男
  • 発表論文等 : Taguchi-Shiobara F. et al. (2024) Theor. Appl. Genet. 137:254
    doi:10.1007/s00122-024-04743-5